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“企業の割栗石”に光を当てよ

和地孝テルモ会長に聞く

2008年8月30日(土)

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 企業の現場の円滑な運営に貢献しているにもかかわらず、存在すら知られていない。そんな“隠れた人材”の重要性に気づき、離職を防ぐべきだ──。

 前回は、米大手経営コンサルティング会社、ボストンコンサルティンググループのファーランダー氏のこうした主張を紹介した。その取り組みを実践している会社が日本にある。「痛くない注射針」など独創性の高い製品で知られる大手医療機器メーカーのテルモだ。

 陰ながら地道な努力で現場を支えている社員に「現場の誇り賞」を毎年授与している。この表彰制度を自ら発案して始めた和地孝会長に理由や狙いを聞いた。

(本誌による要約日経ビジネスマネジメント 中野目 純一)

和地 孝(わち・たかし)氏

和地 孝(わち・たかし)氏
1935年生まれ。59年横浜国立大学経済学部卒業、富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。79~84年に米国に駐在し、米ハーバード大学で学ぶ。88年同行取締役。89年テルモ入社。95年社長。2004年から現職。

(写真:菅野 勝男)

 富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)からテルモ4543に移って社長を9年、会長を4年やってきました。その間に「現場の誇り賞」を毎年授与する制度をつくりました。経営者として私が取り組んできたことの中で、この賞の創設は社員から最も高い評価を受けているのではないでしょうか。

 これは私の信念ですが、日本の企業は「城」であるということです。米国の企業はレンガ造りだけれども、日本の企業は城だと。

 ご存じのように、城は石垣に支えられて建っています。石垣は大きさや形の異なった石からできていますが、よく見ると石と石の隙間を埋めているものがあります。石を細かく砕いたもので、「割栗石」と呼ぶそうです。

 この割栗石は石の重みから生じる圧力を吸収し、石垣に浸み込んでくる雨水の排水を促す、といった役目を果たしています。石の間に挟まれてなかなか目には留まらないけれども、この割栗石があるから石垣は強固なものになり、城を支えていられるわけです。

目立たない「割栗石」を表彰したかった

 企業を城に例えると、目立たないけれども割栗石と同じように重要な働きをしている人がたくさんいる。実際、工場などの現場を歩いて回ると、実に多くの人がコツコツと頑張って働いています。

 地味だから脚光を浴びることはないけれども、そうした人たちがメーカーのモノ作りを支えている。このように割栗石に該当する人たちをぜひ表彰したいと思ったのです。

 優れた業績を上げた社員を表彰する業務表彰制度は以前からあったのですが、こうした制度では陰ながら努力している縁の下の力持ちのような人は対象にならない。これは成果主義の弊害の1つと言えるのでしょう。

 地道に頑張っている人の中には、文字通り、物理的に光の当たらない所で懸命に働いている人もいます。例えば倉庫などで、人に見られていなくても努力している。

 これは日本人の持っている素晴らしい特性でしょう。ここに光を当てられるようでないと、メーカーとして良質な製品を安定的に供給し続けられなくなる。こうした思いもありました。

 現場の誇り賞を創設したもう1つのきっかけは、私が講演活動で受け取った謝礼の使い道です。会社の代表として講演を引き受けているのだから、何らかの形で社員に還元したいと考えたのです。

“意外な”功労者まで表彰

「現場の誇り賞」授与の模様

2006年に行われた「現場の誇り賞」授与の模様

 陰ながらコツコツと働いているのは、得てして謙虚な人ばかりです。自分の仕事をアピールしないので、その働きぶりは役員や人事部長の耳には届かない。ですが、周りで働いている同僚は、その人がいかに重要な働きをしているかをよく見ているものです。

 そこで賞の候補者は、周りで働いている人に匿名で推薦してもらうことにしました。2005年に第1回目の候補者を募った時は、300人ほどの社員の名前が挙がりました。こうして他薦で集まった候補者を役員全員の投票などで絞り込み、最後は私と高橋晃社長とで受賞者を決めています。

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「“企業の割栗石”に光を当てよ」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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