「日経ビジネスリポート」

「誰かわたしにお金を貸して」〜個人同士のお金の貸し借りを仲介するビジネス上陸

世界で流行るニューサービス「ソーシャル・レンディング」

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2008年9月1日(月)

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ソーシャル・レンディング

 複数の個人と複数の個人のお金の貸し借りを仲介するオンラインサービス、「ソーシャル・レンディング」。欧米を始めとして、中国、韓国、オーストラリアなど世界各国で広がっていたが、ついに日本でも始まることになった。

 8月28日、初のソーシャル・レンディングサイト「マネオ(maneo)」が、子会社の第2種金融商品取引業の登録を完了し、9月中のサービス開始を予定しているのだ。ソーシャル・レンディングについては、日経ビジネス8月25日号で紹介したばかりだが、このソーシャル・レンディングの仕組みについて、もう少し詳しく紹介したい。

オークションとSNSを組み合わせる

 maneoのサービスでは、ネットオークションの仕組みと、ミクシィやグリーのようなSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の仕組みを組み合わせ、オンラインで個人間の融資を仲介する。借り手は、自分のプロフィールや職業、年収、借りる目的などをネットに公表し、最大応じられる金利を明示する。そうした情報や、借り手のブログを見た大勢の個人が融資するかどうか判断し、貸し出し可能な金利と一定額までの金額を入札。リストに載せ、出資を募っていくというわけだ。

 リスク分散のために、貸し手に大勢の借り手に対する「分散投資」をさせる。1人の貸し手が1人の借り手に貸せる金額には、上限が設けられている。これは、世界のソーシャル・レンディングで共通する傾向でもある。

 maneoは、元三菱UFJ銀行出身の妹尾賢俊氏が社長が起業した。早々に貸金業登録をしたマネオに加え、出資募集を担う金融子会社「maneoマーケット」の登録が8月下旬に完了。9月中の開業に向けて、準備中だ。銀行の無担保目的別ローンの残高は約7兆円と言われており、この市場がマネオのターゲットである。 

 「銀行の個人向けローンは、どの人でも金利が一律。個人も企業のように、リスクの度合いで有利な借り入れが出来る仕組みを作りたい」(妹尾社長)。例えば年収800万円以上で信用履歴の良い人なら、最高200万円を2.85%の金利で3年間借りることも、応札者さえ見つかれば実現の可能性がある。
 
 ただ、モラルハザードや詐欺など犯罪の温床となることを防ぐ意味合いもあって、いざ融資を受けようと思った時の利用条件や手続きは厳しめだ。まず、一定年収以上の個人でマネオ独自の信用基準を満たしていることが最初の条件。消費者金融の利用層というより、結婚資金や車の購入資金など、人生のイベントで急にお金が必要になった30代、40代を理想的なターゲットと想定している。

同じ立場同士で助け合う 21世紀版の「頼母子講」

 2008年2月にマネオが、定期収入のある20代から40代までの700人を対象に実施したアンケートでは、興味深い結果が出ている。借りたい人の層が年収400万円〜600万円で一番多く、現在は無借金の人も多かった。

 一方、貸したい層も、借りたい人と同じ年収400万円〜600万円の層が最も多く、外為証拠金取引に興味があるような、いわゆる「リスク愛好家」的な人が多かった。富裕層が余裕資金を中間層に貸すというより、同じ立場同士の助け合いに近い構図で、21世紀版の頼母子講、といったイメージだ。

 個人の信用度についてマネオは源泉徴収票の写しなど複数の公的な書類を求め、本人確認も銀行並みに厳格にするという。加盟済みである全国信用情報センター連合会などの信用情報も活用しながら、望ましい金利設定にするため自ら審査をする計画だ。収益源である手数料は、取引が成立した時点、及び月々の返済から徴収する。借り手には債権回収会社や保証会社を利用する選択肢もあるが、全額回収を保証するものではなく、貸し倒れリスクは融資する側が負う。最初の会員登録に関しては無料だ。

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著者プロフィール

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日経ビジネス記者。1993年朝日新聞社入社、阪神大震災から温暖化防止京都会議(COP3)まで幅広い取材を経験した後、2001年1月から日経ビジネス記者に転身。国内外の小売・消費財・不動産・マクロ経済などを担当し、『日経ビジネスオンライン』、『日経ビジネスマネジメント』(休刊)の創刊に携わる。米プリンストン大学ウッドローウィルソンスクールに留学し2005年に修士号を取得(公共政策)。近年は経済学コラムの企画・編集、マネジメント手法に関する取材、執筆などを担当。

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長。

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