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第2話「社長は会計数値に騙され続けた。寒気のする話だ」

2008年9月3日(水)

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前回までのあらすじ

 主人公の団達也は、中堅電子部品会社ジェピーに入社後、経理課長として当時の間中専務や斑目経理部長らの手で行われていた数々の不正を明るみに出した。

 株主総会の場で不正を糾弾された間中と斑目は会社を去った。達也はその功績から財部益男社長に取締役経理部長になるよう請われ、悩んだ末にそれを受諾した。

 細谷真理は経理部員として達也の右腕となって活躍した。達也はそんな真理の働きを評価し、自分が取締役経理部長になるのと同時に、真理を経理課長にするよう社長に進言した。

 一方、米国では、達也のシンガポール留学時代の元恋人、リンダがジェピーの特許を狙って投資ファンドのトップから特命を受けていた。

根津の寿司屋

 真理が、いつものカウンター席ではなく、店の奥にある個室で達也を待っていたのには理由があった。その日の朝、「誰にも聞かれない場所で話をしたい」という、達也からの携帯メールを受け取ったからだ。

 真理も達也に相談したいことがあった。プロモーション、つまり課長昇進を引き受けるかどうかを迷っていたからだ。

 達也は待ち合わせの7時を少し回った頃、真理の待つ部屋に顔を現した。

 「今日、社長に呼ばれたの」
 真理は運ばれてきた生ビールのジョッキに少しだけ口をつけると、浮かない顔で話を切り出した。

 「へえ、何の話だったの?」
 達也は何食わぬ顔で真理に聞いた。

 「私に経理課長になってほしいって言われたわ。私なんかに管理職が務まるはずないのに…」
 「それで、何て返事したの?」

 「もちろん、その場でお断りしたわ。でも、社長は引き受けてくれの一点張り。もう、疲れちゃった」
 
 確かに、真理にとってこの人事は青天の霹靂だったに違いない。しかし、何もいきなり断ることはないだろうと、達也は内心、呆れていた。

 「団さん。あなたが私を課長にするようにって社長に勧めたんでしょう。分かっているんだから」
 「社長がそう言ったの?」
 
 「ううん。でも、消去法で考えれば、答えは一つしかないわ。もう、勝手なんだから」
 真理は、ふくれっ面をして達也から視線を逸らし、横を向いている。だが、その横顔がどこか誇らしげなのを、達也は見逃さなかった。

 「白状するよ。君の言う通りだ。実は、オレも取締役経理部長になってくれと社長に頼まれた。どうしようかずいぶん、悩んだよ。宇佐見のオヤジにも相談した。でも、結論として、オレは引き受けることにしたよ。

 正直言って、社長は間中や斑目たちと一緒になって、会社をメチャメチャにしたんだよ。その社長の頼みを聞いて、会社を立て直すのかと思うと、どうしても割り切れなかった。

 でも、考え直したんだ。ジェピーが立ち直れば、社員をはじめ、関係する多くの人たちを幸せにすることができる。しかも、オレにとっては得難い経験を積む絶好の機会になるってね」

 「それで、団さんは自分のキャリアのために、部長を引き受けて、私を課長に推薦したわけ?」

 達也の話を聞き終えた真理は、表情を一変させ、納得いかないといった顔でこう言った。達也は慌てて真理に言った。

 「誤解しないでくれよ…」

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第2話「社長は会計数値に騙され続けた。寒気のする話だ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師