「ポスト成果主義 スタンドプレーからチームプレーに」

リーダーの愚行を防ぐ2つの方法

ロデリック・クレイマー
米スタンフォード大学経営大学院教授に聞く

バックナンバー

2008年9月13日(土)

1/2ページ

印刷ページ

 賢明で慎重だった人が経営幹部に昇進した途端、横柄な態度を取り、独走を始める。このような事態が企業の職場で起きることは珍しくない。その結果、部下はやる気を失い、職場のチームワークが崩壊する。

 権力を握ることによって言動が急変してしまう人が出てくるのはなぜなのか。それを防ぐにはどうしたらいいのか。

 米スタンフォード大学経営大学院におけるリーダーシップ研究の第一人者で、このテーマについて取り組んできたクレイマー教授は、リーダーとなる本人が自らを律するしかないと説き、2つの予防法を提示する。

(本誌による要約日経ビジネスマネジメント 中野目 純一)

ロデリック・クレイマー(Roderick Kramer)

ロデリック・クレイマー(Roderick Kramer)
米スタンフォード大学経営大学院教授。1985年米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で社会心理学の博士号を取得。同年から米スタンフォード大学の教員となる。研究対象は創造性、意思決定、リーダーシップなど多岐にわたる

(写真:鍋島 明子)

 非常に聡明だった人がエグゼクティブ(経営幹部)や管理職に昇進した途端、愚かなことをするようになった──。

 このような光景を目の当たりにしたことは、恐らく誰にでもあるでしょう。エグゼクティブになる以前は、慎重な姿勢で成功を収めてきた人が急に愚行を重ねるようになる。まさに謎ですね。

 このように賢明な人であっても、権力を持つと行動が変わってしまうのはなぜなのか。この「パズル」を解き明かしたいと思い、調査を行いました。結論の1つは、権力を手にすると、周りの人に相談しなくなってしまうということです。自分の立てた仮説を検証せずに物事を決めるようになる。

 そうした傾向が顕著に見られるのが、米国の歴代の大統領です。大統領の候補だった時には有権者の関心に注意を払い、周囲のアドバイスに耳を傾けていた。ところが、大統領に選出されて権力を手にするや、自分の直感だけに基づいて行動し始める。直感に基づいて起こした行動の多くは、得てして悪い結果をもたらします。

 周囲に助言を求めても、周りの人々が真実を語らないこともある。上司が気に入らないことは口にせず、聞きたいと思うことだけを耳に入れるようになるのです。これが、エグゼクティブが愚行を重ねる原因になることもある。

 例えば米民主党でバラク・オバマ氏と大統領候補の指名を争ったヒラリー・クリントン氏は、彼女が聞きたいことしか言わない人たちに囲まれていた。そのためにいくつもトラブルを招きました。

愚行によって会社を追われた2人の経営者

 急に愚かなことをするようになった企業経営者の例として、米ウォルト・ディズニーのマイケル・アイズナー元会長兼CEO(最高経営責任者)が挙げられます。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
この記事を…
内容は…
コメント1 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス記者。日経アーキテクチュア、日経コンストラクション、日経ビズテックの記者を経て、2005年12月日経ビジネス記者。2012年4月から現職。



このコラムについて

ポスト成果主義 スタンドプレーからチームプレーに

バブル崩壊後、活路を見いだすために日本企業がこぞって導入した成果主義は、今や懐疑的な眼差しが強く向けられている。では、その成果主義の後には、どのような評価システムが主流になるのか。内外の経営者や人事のエキスパートに今後の方向性を語ってもらう。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン