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第10回 ライバルの真似を許さない最強企業

  • 佐久間 陽一郎

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2008年9月13日(土)

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 新興テレビメーカーの米ビジオが日本市場に参入──。

 日本経済新聞が9月6日付の朝刊でこう報じた。この連載コラムの第5回「日本メーカーが海外勢に惨敗する理由」でも紹介したように、日本では無名のブランドである同社は北米で2007年にシェアを急拡大。液晶テレビの出荷台数で一時は首位に立った。

 同社は自社工場を持たない「ファブレスメーカー」である。液晶パネルや半導体などの基幹部品を社外から調達し、テレビの組み立ても外部に委託している。そうすることで製品の価格を引き下げ、中低所得者層を相手に薄型テレビの販売を一気に伸ばした。

 日本でも既に、価格を国内メーカーの半額以下に抑えた42型液晶テレビの販売を始めているという。ビジオの新規参入で国内の薄型テレビの価格低下に拍車がかかり、国内メーカーの収益が一段と悪化する可能性が出てきた。

 このように、多くの産業で日本のメーカーが海外の新興メーカーの追撃を受け、業績の悪化を余儀なくされている。海外メーカーが日本メーカーのものと遜色のない製品を低価格で市場に投入し、日本メーカーから競争上の優位を突き崩しているからだ。

トヨタやセブン・イレブンをしのぐ高収益

 一方で、海外勢はおろか、日本国内のライバルにも追随を許さず、圧倒的な収益力を誇る会社もある。その筆頭が、前回の宿題で取り上げた制御機器メーカーのキーエンス6861だ。

【宿題】

 ファクトリーオートメーション(FA)向けのセンサーなどを販売し、「驚異の高収益企業」と言われるキーエンス6861。2008年3月期の売上高営業利益率は51%に達した。

 ところが、同社の基礎研究は必ずしも強くない。研究開発の投資額は同じ制御機器メーカーのオムロン6645や横河電機6841の4分の1以下だ。にもかかわらず、驚異的に高い利益を上げられる秘密は何か。また、競合他社はなぜ同社のような高い収益性を達成できないのだろうか。

 キーエンスの51%という売上高営業利益率は、トヨタ自動車7203、セブン&アイ・ホールディングス3382、武田薬品工業4502といった日本を代表する高収益企業をもしのぐ。これほどの高収益を達成できるのはなぜなのか。この連載の第6回「小人が巨人に勝つ方法」で解説した戦略の定石で分析してみよう。

 定石とは、「競争戦略」の第一人者、米ハーバード大学経営大学院教授のマイケル・ポーターが提唱した「3つの基本戦略」である。

 いずれも、「他社とは異なる活動を伴った、独自性のある価値あるポジションを創り出す」、すなわち、競争上の優位を生み出すための戦略で、(1)コストリーダーシップ戦略、(2)差異化戦略、(3)集中戦略──の3つがある。

ポーターの競争戦略が通用しない

 コストリーダーシップ戦略は、コスト競争力を徹底的に磨いて、コスト面で競争相手に対して優位に立つことを目指す。キーエンスの経営はこの戦略に該当しない。理由は明白。同社の製品の価格は決して安くはないからだ。

 主力のセンサーをはじめ、同社の製品はいずれも、業種や事業規模の大小を問わず、あらゆる生産ラインで使える汎用品である。顧客の9割以上は中小企業で、特定の顧客に依存していない。

 これらの点からキーエンスは、特定の商品やサービス、特定の顧客層、特定の地域など限定された領域に経営資源を集中する集中戦略も採用していない。

 残る差異化戦略は、競争相手のものとは異なる独自の商品やサービスによって顧客に付加価値を提供し、相手に対して優位に立とうとするものだ。

 一見、キーエンスの競争優位は、この戦略に立脚しているように見える。売り上げの30%を2年未満の新製品が占め、その新製品の大半が「世界初、または業界初」のものだからだ。

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