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コンピューターと電話のような「進化」が電力網で起きる

スマートグリッド~ダイナミックでエキサイティングな未来

  • 飯野将人,堤 孝志

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2008年9月25日(木)

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 NEXT BIG THING! ベンチャーキャピタリストはIT(情報技術)、バイオの“次に来る巨大潮流”を追い求めている。本稿ではNEXT BIG THING「クリーンテック分野」の投資で先行する海外(主に米国)事例を拙訳書『クリーンテック革命』(ファーストプレス)に触れながら紹介する。さらに、この分野はわが国にも先進的な事例がある。ニッポンの事例とニッポンの投資実務家の思いも語ろう。

スマートグリッド時代の生活

 我が家の屋根の太陽電池兼小型風力発電機は働き者だ。真夏日の今日は、発電メーターがドンドン増加している。その電気でエアコンが動いているので真夏日なのに快適な週末、部屋で高校野球観戦中だ。

 一昔前は真夏日と言えばエアコンの使用を控え、ピーク電力対策で節電が呼び掛けられていたものだが、電力網のスマート化が進んだ今は違う。

 家電やオフィス機器からの電力消費情報に基づいて、電力需要予測システムが電力需要をきめ細かく予測し、電力が余っている地域から足りない地域へ電力が自動的に補給され平準化がはかられる。それでも足りずに本当にピークに近づけば、システムが自動的に家庭やオフィスの電気機器の消費を抑制する。おかげでピーク電力に合わせて計画されていた大型発電所の建設も、今はその必要がなくなった。

 電力が不足した地域への電力補給源は、何も日本国内に限らない。超電導技術が導入された今日の電力網では、中国の太陽電池発電所から、クリーン電力が届けられることだって珍しくない。国内の補給も発電所でなく、家庭やオフィスの蓄電システムから、余剰電力を供給することだってある。我が家では売電で稼いだお金で旅行や外食などちょっとした贅沢に使っているので電力需要は大歓迎だ。自家発電から新興のクリーン電力専門事業者まで、電力の選択肢も増えて電気代も昔より安くなった。

 スマートグリッドには家庭やオフィスの太陽電池だけでなく、全国各地の風力発電所や太陽光発電所、バイオマス発電所もつながっている。昔は代替エネルギーなどといわれていたものだが、今や原子力や火力にならぶ存在で温暖化ガスの排出もだいぶ抑制できてきた。

 スマート電力網には我が家のマイカーである電気自動車もつながっている。夜間等電力が安いときを選んで自動充電するのはもちろん、停電の時にはバックアップ電源にもなるのだ。さてと、野球も終わったので充電完了した車で買い物に出かけるか…。

…これはもちろん、現在の話ではない。「スマートグリッド」と呼ばれる次世代電力網がフルに実現した未来の話である。

スマートグリッドとは

 「デジタル情報分野の最新技術を活用して、さまざまな集中型・分散型エネルギー源を効率的に管理、供給するもの」。これが、拙訳書「クリーンテック革命」における、スマートグリッドの定義だ。具体的には次のような効用が期待される次世代の電力網とその周辺システムということになる。

特徴 内容 効用
オープン化・分散化 分散配置された太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーによる電源を柔軟に系統連系できる。 再生可能エネルギーの本格普及、電源の分散化によるセキュリティ面の改善
端末の高度化・双方向化 計測・制御機能が端末側に搭載され、電力供給側と連携することで、ミクロレベルの電力の需要・供給情報に基づき、各種の最適化が図られる。 ピーク電力対応、電力料金低減
  廉価な大容量バッテリーの実現により、発電・利用のオンサイトに電力貯蔵機能が装備される。 発電と利用のタイムシフトが可能に。また、再生可能エネルギーの間欠性・出力変動の解消。
大容量化・長距離化 超電導技術などにより、電力網内の電力損失を大幅低減。 エネルギー利用効率の向上。送電距離の制約を超えた最適地での発電が可能に。

 ITやエレクトロニクスの先端技術を活用して電力網を一気にアップグレードする、これがスマートグリッドの本質だ。「電力網全体のアップグレード」とは巨大な話だ。

コメント2件コメント/レビュー

コンピュータネットワークと電力網の発達で最も事情が異なるのが、コンピュータネットワークは機器の発達とともに大きくなっていったのに対して電力網は既にあるものを置き換えることだと思います。私は専門家ではありませんが、おそらくスマートグリッドで最も重要なのは電力の需給関係をどのように制御するかというソフトウェアだと思います。現状の電力網を整備している重電メーカや電力会社以上にこのソフトの技術を持つベンチャー企業が現れる可能性はあまりないような感じがします。そういった意味で太陽電池パネルメーカーですら価格を叩き合っている半導体メモリーメーカーと同じ運命をたどるでしょう。電力網分野でのマイクロソフトやインテルはベンチャー企業ではなく既存の電力会社や重電メーカーの中から出てくるのではないでしょうか。というよりも、既存の電力会社や重電メーカは既に電力網の技術を持っているのだから彼らがこの分野にもっと力を入れる方が社会全体にとっては近道ではないでしょうか。(2009/01/23)

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コンピュータネットワークと電力網の発達で最も事情が異なるのが、コンピュータネットワークは機器の発達とともに大きくなっていったのに対して電力網は既にあるものを置き換えることだと思います。私は専門家ではありませんが、おそらくスマートグリッドで最も重要なのは電力の需給関係をどのように制御するかというソフトウェアだと思います。現状の電力網を整備している重電メーカや電力会社以上にこのソフトの技術を持つベンチャー企業が現れる可能性はあまりないような感じがします。そういった意味で太陽電池パネルメーカーですら価格を叩き合っている半導体メモリーメーカーと同じ運命をたどるでしょう。電力網分野でのマイクロソフトやインテルはベンチャー企業ではなく既存の電力会社や重電メーカーの中から出てくるのではないでしょうか。というよりも、既存の電力会社や重電メーカは既に電力網の技術を持っているのだから彼らがこの分野にもっと力を入れる方が社会全体にとっては近道ではないでしょうか。(2009/01/23)

カナダの電力会社でスマートグリッドのプロジェクトに関わっています。記事では日本はスマートグリッドでは北米に遅れているような印象を受けましたが、スマートグリッドの応用の一つである配電系統の自動化は導入され、停電や異常の自動検知・復旧が可能になっています。日本で遅れている応用はおそらくスマート電力計の設置とホームエリアネットワークなどの応用だと思います。私見ですが、人口が増えず拡大して行かない市場を背景に、電力会社の本音はもっと電気を売りたいというのが需要マネジメントを可能にするスマート電力計がまだ導入されない理由ではないかと考えます。(2008/09/25)

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