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「負の資産隠し」を許した米国の盲点

2008年9月金融危機を検証する

  • 杉田 庸子

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2008年9月29日(月)

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 2008年9月は、間違いなく今後の金融史に残る月となるだろう。その大事件の発端となったリーマン・ブラザーズの破綻にあたっては、救済する金融機関はとうとう登場しなかった。

 それは、同社が公表した財務情報以上の「負の資産」があると見られ、政府保証抜きでそのリスクを丸ごと引き受ける存在がなかった、ということである。数々の会計基準の変更を経て透明性が高まったはずの米系金融機関の財務諸表が信頼されていない理由は、どこにあるのだろう。

ファニーメイとフレディマックの疑惑の会計処理

 公的管理下に置かれたファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)とフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)に関しては、そもそも、「金融資産の公正価値評価などの会計方針が適切ではなかった」という疑いがある。連邦住宅公社監督局(OFHEO)は今年4月、2社が2007年12月決算で一部の会計処理について、「財政状態を過大に見せている可能性がある」との見解を示し、それが「自己資本比率の不適切な調整につながっている危険がある」と指摘した。

 フレディマックに関しては、2008年3月四半期決算に関しても同様の指摘が、ブルームバーグなどのメディアからなされている。不信を呼んだ会計処理は財務会計基準書157号「公正価値」と159号「公正価値オプション」の採択に関わるもの。フレディマックは基準変更時の影響で2008年3月四半期決算で26億ドルも損失額を減らしていると見込まれており、新基準の採用が「選択的」だったのではないか、と言われている。また、フレディマックのレベル3資産の残高は、2007年12月末に319億ドルだったものが、2008年3月には1567億ドルにも膨れ上がっている。

 この分類が、果たして信頼に足るものであるかについても注目を集めた。この決算発表の結果、フレディマックの株価は9.2%上昇したが、内容をよくよく見てみると、疑問も生じる内容だったわけだ。

 この2社は株式公開をしてはいるが、SEC(米証券取引委員会)への登録は、定款で義務づけられていなかった。ファニーメイは以前からSECに自主的な登録を行っていたが、フレディマックに関しては、2008年に入ってからSECに登録し、四半期報告書を提出し始めたばかりだ。

 こうした状況から、そもそも、フレディマックの2007年12月末以前の期間に関しても情報開示には疑問が多い。実際、同社は数年前にも不正会計疑惑で糾弾された過去がある。

追加損失が止まらない

 財務情報に対する不信感は、ファニーメイやフレディマックに限らない。リーマン・ブラザーズやその他金融機関の救済交渉が難航した背景には、彼らが公表する金融資産の評価額に不安を持たれたからだ。

 米系金融機関は米国会計基準に従って公正価値で金融資産を評価している。だが、債務担保証券(CDO)などのサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)を組み入れた商品の評価方法は複雑で、しかも、一定のモデルに従って公正価値を計算しても、その価格で「売れる」とは限らない。

   このため、売却時の追加損失リスクは消えない。さらには、これほどに金融収縮が急激に進んでしまうと、四半期の情報開示ですら、最新情報とは言えない状況になっている。

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