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最終回
インドの“覇者”、スズキが失う巨大な商機

  • 佐久間 陽一郎

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2008年9月27日(土)

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 残留農薬で汚染された「事故米」が食用として不正に転売されていた問題が、大きな波紋を呼んでいる。9月24日に警察が捜索に入った米粉加工会社の「三笠フーズ」(大阪市)。同社が不正に転売していた先は、酒造会社や米菓メーカーなど約380社に上ると言われる。

 三笠以外にも3社が不正転売に手を染め、中学校の給食やコンビニエンスストアのおにぎりにまで事故米が使われていたことが判明した。三笠に100回近く立ち会い検査をしていたにもかかわらず不正を見抜けなかった農林水産省の失態まで明らかになり、責任を問われた農相が辞任し、事務次官が解任されるなど、事件の余波は広がる一方だ。

 記憶に新しいところでも、賞味期限切れや産地偽装、さらには客の食べ残した料理の使い回しまで発覚して廃業に追い込まれた大阪の料亭・船場吉兆のケースなど、同様の企業の不祥事が後を絶たない。そこで改めて、コンプライアンス(法令順守)やCSR(企業の社会的責任)の重要性がクローズアップされている。

ポーターが提唱したCSRの新機軸

 しかし海外に目を転じると、CSRについての新たな考え方が台頭し、企業の経営戦略に影響を及ぼし始めている。この潮流を見過ごして、慈善事業への寄付や、社会・環境へ与える悪影響の軽減といった従来通りのCSR活動に終始していたら、世界の趨勢から大きく取り残されかねない。

 CSRに対する新たな考え方の提唱者は、競争戦略の第一人者、米ハーバード大学経営大学院教授のマイケル・ポーターである。彼の競争戦略についてはこの連載で何度も紹介しているから、その名をすっかり覚えた読者も多いだろう。

 ポーターがCSRの新たな考え方を初めて提示したのは、「Strategy & Society: The Link Between Competitive Advantage and Corporate Social Responsibility」と題する論文だ。この論文は、ハーバード・ビジネス・レビュー誌の2006年12月号に掲載された。

 注:邦訳「競争優位のCSR戦略」は、「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー」(ダイヤモンド社)の2008年1月号に掲載

 ポーターはこの論文の中で、事業活動とは別に社会からの要請を受けて行う従来のCSR活動を「受動的CSR」と位置づけた。そして、受動的CSRからさらに進み、社会問題と事業活動とを結びつけて、事業活動を通して社会問題の解決に能動的に取り組む。そうすることで、自社の持続可能な競争優位を創り出すCSR活動を「戦略的CSR」と名づけたのである。

 ポーターは、既に受動的CSRから戦略的CSRへ取り組みを転換している企業として、米マイクロソフトや米ゼネラル・エレクトリック(GE)、スイスのネスレなどの例を挙げている。

環境対策を収益力向上に結びつける

 こうした先進企業の動きに思想的に大きな影響を与えたと見られているのが、元米副大統領のアル・ゴアだ。米ドキュメンタリー映画「不都合な真実」に主演して地球温暖化問題の深刻さを訴え、2007年にノーベル平和賞を受賞した彼は、次のように述べている。

 「気候変動対策の一翼を担う企業は、収益力を高め、優秀な人材を惹きつけ、ブランドを向上させるだろう。そのすべてが最終的に利益の最大化につながる。今日、気候危機に対して行動を起こすことは、企業の評判やリスク管理の面だけでなく、企業収益や市場で優位な地位を得るという点でも有意義だ」

 下の図は、ポーターの定義をベースにして、受動的CSRと戦略的CSRを分類したものだ。最も高いレベルが第4段階である。

受動的CSRから戦略的CSRへ

 第4段階の説明に出てくるコアコンピタンスは、この連載の第10回「ライバルの真似を許さない最強企業」でも紹介した。英ロンドン大学経営大学院教授のゲイリー・ハメルと米ミシガン大学経営大学院教授のC・K・プラハラードが『コア・コンピタンス経営』(日経ビジネス人文庫)で提唱した概念である。

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