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第6話「銀行は貸し剥がしにかかるだろうな」

2008年10月1日(水)

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前回までのあらすじ

 経理部の細谷真理は経理課長に昇進し、達也は取締役経理部長になってジェピーの経営の一翼を担うことになった。経理部では真理の人事をどうしても承服できない田中が、同僚の佐々木と不満を口にしていた。

 田中は会社を追われた斑目元経理部長の下で、怒鳴られるのも厭わず、言われるままに役員向けの会計資料を作り続けてきた。そんな田中は、自分がもっともジェピーを知り、課長にふさわしい人材だと思っていたのだ。

 社長の財部益男は、達也と真理から、ジェピーが60億円もの債務を連帯保証していたことを聞かされた。益男は債権者である関東ビジネス銀行の丸亀支店長に呼び出されて途方に暮れていた。

 その60億円は、横領の罪で会社を追われた間中元専務が、事業に失敗した妻の実家のために銀行から借りたものだった。

 


 「団部長。銀行に一緒に来ていただけないかな」

 真理が経理部に戻るため部屋を出るのを見届けると、益男は不安をあらわにして達也に言った。あまりにも急に話が展開したことで、これから何が起こるか分からず、不安に押しつぶされそうになっているのだ。

 不安というのは、近い将来を予測できないために抱く感情にほかならない。

 「不意打ちを食らってはならん」

 どこかで宇佐見の声が聞こえたような気がした。達也は、かつてゼミで宇佐見から教わったことを思い浮かべた。

 近い将来をいろいろな条件でシミュレーションできれば、将来の不安は払拭できるし、不意打ちを食らう確率も格段に減る。おそらく、益男はシミュレーションどころか、ジェピーが置かれている現状すら客観的に捉えていないようだ、と達也は思った。

 銀行に行けば、丸亀支店長はジェピーが負っている膨大な債務金額を益男の目の前につきつけ、今後どのように返済するつもりなのかを、容赦なく質問してくるに違いない。

 ところが、益男といえば、丸亀支店長からきついお達しがあるであろうことは承知しているようだが、それは、子供の頃、親や学校の先生から受けたような叱責と同じくらいのこととしか思っていないのではないか。だから、一人で行くのが嫌で、達也に同行を頼んだに違いない。そんな思いが達也の脳裏をかすめた。

 つまり、益男は、丸亀からどんな質問をされるのか、何も分かっていないということだ。仮に、益男が一人で関東ビジネス銀行に出向き、情け容赦ない丸亀支店長の質問にしどろもどろになったとしたら…。あるいは、経営者として熟慮すべき会社の将来について、実は何も考えていないことがあからさまになったとしたら…。

 結果ははっきりしている。

 (貸し剥がしにかかるだろうな)

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第6話「銀行は貸し剥がしにかかるだろうな」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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