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第7話「このままでは倒産ですね…」

2008年10月8日(水)

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前回までのあらすじ

 経理部の細谷真理は経理課長に昇進し、達也は取締役経理部長になってジェピーの経営の一翼を担うことになった。

 社長の財部益男は、達也と真理から、ジェピーが60億円もの債務を連帯保証していたことを聞かされた。益男は債権者である関東ビジネス銀行の丸亀支店長に呼び出されて途方に暮れていた。

 達也は社長でありながら、自ら経営方針を何も持たない、人の言いなりにしか動けない益男を目の当たりにして改めて自分の責任の重さを感じていた。

 関東ビジネス銀行との会見は午後に迫っていた。達也は真理に必要な書類を急いで準備するように命じた。


 「全く分かっちゃいない」

 達也は辞めた斑目が使っていた肘掛け椅子に深く座り、天井を仰いだ。

 ジェピーの運命を決するような重大な局面だというのに、社長の益男は相変わらず会社の危機を人ごとのように思っている。以前の達也だったら「どうにでもなれ」とふて腐れて酒をあおったに違いない。

 だが、CFOになった今、全く違う受け止め方をしていた。達也は、どうすれば銀行とのセッションで逆転打を放てるかどうかを考えていた。この一点に集中すべき時だと、はっきりと認識していた。

 「細谷課長」

 達也は真理を役職で呼んだ。達也自身、経理部の男性社員が真理の昇進を快く思っていないことを痛切に感じていた。だが、ジェピーで働く限り、彼らの上司は真理であり、真理からの指示は、業務命令なのだ。仮にその命令を無視することがあれば、部長である達也自身が断じて許さない。そんな思いで、真理を役職で呼ぶことにしたのだった。

 真理自身にも、一日も早く課長としての自覚を持って管理職として誰もが認める仕事をしてほしい、と願っていた。真理は、毎日同じ作業を繰り返すだけの出金係ではなく、名実共に年商100億円の経理課長になったのだから。

 だが、こんな達也の思いは杞憂のようだった。真理は、プリントしたばかりのA4の紙を達也に渡し、簡潔に説明を始めた。

 「これは粉飾した金額を正しく修正したバランスシートです。主な資産は売掛金14億円、在庫23億円、有形固定資産60億円。

 主な負債は借入金43億円と買掛金などが24億円。純資産は30億円です。営業部長の話では、売掛金には回収できない不良債権が4億円ほど含まれているそうです。それから、23億円の在庫は捨てるしかない、と言ってました」

 「たった2億円の架空利益のために、27億円もムダ金を使ったんだな…」

 達也は吐き捨てるように言った。真理は説明を続けた。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第7話「このままでは倒産ですね…」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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