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第8話「銀行は助けてはくれないのですか」

2008年10月15日(水)

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前回までのあらすじ

 社長の財部益男と達也は、ジェピーの債権者である関東ビジネス銀行の丸亀支店長に呼び出された。益男と達也の目の前に現れたのは、丸亀支店長のほかに、融資部統括本部長の強田弘だった。強田は、この会見のために大手町の本部からやって来たのだった。

 強田は満沢不動産の倒産によって、連帯保証人であるジェピーに18億円の債務が新たに発生し、合計61億円の債務となったことを益男と達也に言った。

 強田は、ジェピーは営業キャッシュフローがマイナスであり、今後商売を続けても資金不足に陥るのは目に見えているはずだと、益男を問い詰めた。

 そんな強田に向かって達也は、ジェピーを1年で立ち直らせること、24時間後に事業計画を持ってくることを約束した。


取締役会

 本社に戻った後も、益男は強田が放った言葉に打ちのめされたのか、一言も言葉を発することはなかった。無理もない、と達也は同情した。益男は今日まで、誰からもきつく叱られたことはなかっただろうし、自ら責任を取ることもなかったのだ。全く抵抗力のない人間になってしまったのも無理はない。

 一流銀行の融資部で鍛え抜かれた強田は、一目で益男がお飾りの経営者であることを見抜いたに違いない。さらに、支店長の丸亀からも、益男が会社でどのような立場にいたかについては聞かされていたに違いない。

 ところが、強田は益男をジェピーの代表取締役社長として扱った。

 しかも、達也が事業計画をまとめるから1日待ってほしいと懇願した時、強田は逡巡しながらも合意してくれた。さらに、丸亀支店長は「団さん。理由は申し上げられませんが、ここで24時間待つというのは、強田本部長にとっては苦渋の決断なんです」と、意味深長な台詞を吐いた。

 (何かある…)
 達也は考えた。

 間違いなく関東ビジネス銀行は貸し剥がしを目論んでいる。だからこそ、本社融資部の強田が会議に参加したのだ。強田は上司に、ジェピーから即刻手を引くよう強く指示されていたはずだ。だが、強田は24時間待つと達也に約束したのだ。強田を動かしたのは何か。達也には見当がつかなかった。しかし、急がなければならないことだけは確かだ。

 「社長、今すぐ三沢常務と細谷課長を呼びましょう」

 達也は一刻も早く事業計画を練り上げるべきだと益男を促した。間もなくして、2人が社長室に現れた。達也は満沢不動産の破綻によって18億円の債務が発生したこと、それから従来からの43億円の債務と合わせて、関東ビジネス銀行に対する債務が61億円になったことを伝えた。さらに、いま会社の財産をすべて売り払って仕入れ業者や銀行からの債務を清算しても、借金は50億円残ることを説明した。

 社長室は重苦しい空気に包まれた。

 「関東ビジネス銀行の強田さんから、ジェピーをどうしたいのかって、きつく問い詰められてね。正直言って、母と私の資産を処分してもせいぜい数億円。とても50億円なんて返せない。それに、2人とも銀行に連帯保証をしているし…」
 益男が弱々しい声で言った。

 「それで、銀行は助けてはくれないのですか」
 真理が心配そうに聞いた。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第8話「銀行は助けてはくれないのですか」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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