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“未来の成長分野”燃料電池に賭ける大手とベンチャー

  • 飯野将人,堤 孝志

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2008年10月23日(木)

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 NEXT BIG THING! ベンチャーキャピタリストはIT(情報技術)、バイオの“次に来る巨大潮流”を追い求めている。本稿ではNEXT BIG THING「クリーンテック分野」の投資で先行する海外(主に米国)事例を拙訳書『クリーンテック革命』(ファーストプレス)に触れながら紹介する。さらに、この分野はわが国にも先進的な事例がある。ニッポンの事例とニッポンの投資実務家の思いも語ろう。

 前回のキャパシタとリチウムイオン電池に続いて今回は燃料電池。拙訳書『クリーンテック革命』ではモバイル電源に限っているが、本稿では定置型電池についても網羅する。

電池の種類

究極のクリーンサイクルも可能に

 なんといってもクリーンで温室効果ガスや有害物質の排出が少ないのが最大の特長だが、水素は元々自然界では水(H2O)や炭化水素(CmHn)として存在するため、電池の燃料として使うには分解精製を経て取り出す必要がある。現状ではメタンなどの化石燃料から水蒸気改質法などで取り出す方法が中心で化石燃料に依存性があることや、改質時に温暖化ガスを発生させるため、これは厳密にはクリーンではない。しかし、いずれ自然エネルギーを使って海水から水素を取り出す技術が普及すれば「水→水素→水」という究極のクリーンサイクルが可能になるという期待もある。水素を取り出すプロセスの開発は盛んで、水蒸気改質法、部分酸化法、副生ガス利用、水電解等に加え、光分解法、生物化学法も研究されている。

 燃料電池はさらに、太陽光発電や風力のような自然エネルギーに比べてもエネルギー密度が高く、高出力であるためモバイル機器や家庭用、自動車や大型プラントまで広い応用分野が見込まれる期待のエネルギーだ。

水素社会は「永遠の逃げ水」?

 ところが水素は常温で気体であり、軽く漏れやすく貯蔵が難しい。圧縮したり低温で液化したり、金属と反応させ化合物として吸蔵したり、物理的にカーボンに吸着させたり、といろいろ試されているが家庭や自動車向けの製品では、軽量な容器で多量の水素を安全に貯蔵できなければ使い物にならない。輸送も一大事だ。

 燃料電池が普及するためには水素流通インフラ(水素ステーション)の整備が不可欠であることから、専門家の間には「水素社会は永遠に実現しない逃げ水のようなものだ」という揶揄もある。正直、我々ベンチャーキャピタリストにとっても、水素社会の到来を前提とした事業に限られた期間で投資回収しなければならない資金を振り向けることは勇気がいるのも事実だ。

 が、水素社会をにらんだ実験は盛んだ。日本でも昭和シェル石油や岩谷産業が中心となって有明に液体水素貯蔵型の水素ステーションを設置したり、新日本製鉄がコークス炉ガスで水素精製する装置を実験したり、食塩電解した副生水素による水素ステーションを横浜・鶴見に開設したり、といった実験が行われている。燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)は今年7月、「2015年をターゲットにした燃料電池車と水素ステーションのシナリオ」を発表した。

 海外でも米国シカゴ、サクラメントなどの都市で圧縮水素ガス、水電解型、天然ガス改質型の水素ステーションが実験されている。欧州のCUTEプロジェクトでは2003年以来域内各国の9都市で燃料電池バスを運行しており、専用の水素ステーションも運営されている。これと別に欧州CITY CELLプロジェクトは、4都市で燃料電池バスを運行実験している。

 また、水素ステーションからの単体水素に頼らず、すでに供給インフラのある都市ガス、天然ガス、プロパンガスの改質による燃料電池は、一般家庭での実証実験も進んでおり、離陸間近の段階に来ている。上述の通り、この場合には厳密にはクリーンとは言い難いものの、化石燃料を使う他の発電方法と比較すると総合効率(電気+熱の利用効率)が良いこと、またその結果として温暖化ガスの排出量は少なく相対的にクリーンであるという燃料電池の良さを一部先取りした格好だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によれば、火力発電所は排熱による損失が60%と大きく、総合効率は35%であるのに対し、熱も利用できる燃料電池の総合効率はなんと80%に達する。この効率の高さだけでも燃料電池の魅力は十分と言える。

 家庭や自動車への燃料電池の本格普及が「永遠の逃げ水」かどうかは、早晩結論が出るはずだ。

どういう仕組みで発電するの?

 さて、そもそも燃料電池はどういう仕組みで発電するのだろうか? 筆者も技術者ではないが、おおまかな仕組みは水素をイオンと電子に分離し、イオンの方は酸素イオンと結びつけて水として排出する一方で、電子の方だけ電流として取り出す、という仕組みだ。

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