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「バカ」でなければ改革はできない

武田 國男(武田薬品工業会長)― 第1回 経営者の矜持

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2008年10月20日(月)

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国内製薬会社のトップに君臨する武田薬品工業。日本一のキャッシュリッチ企業で知られた同社が巨費を投じて米社を買収するなど攻勢に出ている。
同社が世界に飛躍する礎を築いたのが武田会長。周囲の反対に屈することなく自らの信念を貫き通し、黒字の“副業”を分離して高収益企業へと変えた。日本の現状を憂い、地位向上の取り組みを訴える。

武田 國男

武田 國男(たけだ・くにお)
1940年兵庫県生まれ。62年甲南大学経済学部卒業、武田薬品工業入社。米アボット・ラボラトリーズとの合弁会社、米TAPファーマシューティカル・プロダクツのエグゼクティブ・バイスプレジデントなどを経て、93年社長。2003年6月から現職。関西経済連合会副会長、日本経済団体連合会副会長、日本製薬団体連合会会長を歴任。

(写真:菅野 勝男、以下同)

 こんなに変わった会社はほかにはないやろ──。こう思うほど私が社長を務めていた間に武田は変わったのと違いますか。社長になる前から儲かってはいましたけど、まだ日本の国内だけの「薬屋さん」だった。それを変えて本当に儲かる会社にしましたからね。事業の国際化も進んで、海外の売り上げが国内を上回るようにもなった。「改革」と呼べるほどだったかどうかは分かりませんがね。

 食品など医薬品以外の事業を切り離して本業の医薬品に集中する体制を作り上げた。それは高付加価値化を求めたからです。

 私が社長に就任したのは1993年。2年に1回の薬価改定で行われる薬価の引き下げが、政府の医療費抑制策でさらに厳しくなることは当時から明らかでした。縮小する一方の国内にとどまっていてはジリ貧になる。世界最大の市場で価格も自由に決められる米国に打って出なければならないと思いました。米国市場を制覇すれば、製薬会社の世界トップテン入りも見えてきますから。

 だが米国に進出するには、当時の武田は米国の製薬会社に収益性の点で大きく水をあけられていた。彼らの土俵である米国市場で戦うためには、差を埋めるだけでは十分ではない。収益性で逆転して優位に立つぐらいでないと。だから、高付加価値化によって1円でも多く稼げる会社にしたいと思ったわけです。

 なぜ米国の製薬企業の利益率が高いのか。突き詰めると社員1人当たりの生産性が非常に高いわけです。翻って自社を見ると、医薬品に比べて利益の少ない食品などの事業の社員にも、医薬品事業に携わる社員と同等の給与を支払い、コストが高止まりしている。これでは儲かるわけがありません。経営資源を付加価値の高い医薬品事業に重点的に配分しなければならない。それも米国の市場を中心に、と考えたのです。

言うだけでは誰もついてこない

 加えて人員に余剰感もあった。そこで事業の高付加価値化、経営資源の重点的配分、人員の適正化の3つを基本戦略とする「95-00中期計画」を策定して実行しました。とにかくお金を儲けられる会社に変えたいという一心でしたね。そうならなければ世界に打って出られないと思っていましたから。

 ですから、中期計画を実行して稼げる会社にするという方針は絶対に変えなかった。ブレなかった。私が考えた方針を相棒の長澤秀行さん(当時の副社長)が中期計画にまとめてくれた。彼を介してまずは役員を巻き込み、上から下へと徐々に計画を実行する必要性を訴え、社内に浸透させていきました。

 私の小さい頃からの信念なのですが、上が「やれ」と言うだけでは下は動きません。自分からやらなくちゃ誰もついてこない。トップが本当に動いて、それを見せつける。それによって「ああ、本当にやるんだな」と下の意識を変えていかなければうまくいきっこないんです。

 普通の人は「やるぞ、やるぞ」と言いながら、自分では何もしない。怖いんですな。失敗したら自分の責任が問われますから。

 実行は誰でもできるんです。問題は、それで結果が出るかどうかです。結果が出なかったら、自分のクビが飛びますからね。ですから、怖いんですよ。近頃の新聞には「改革」という言葉が躍っていますが、失敗する方が多いから、利口な人は絶対に手を出さない。改革なんて一番バカな人がやることなんですよ。バカじゃなかったらできません。

 私がなぜやろうと思ったか。武田の株を持っていますからね。会社が儲かるようにならなければ株の価値が下がってしまう。それに配当を増やしたかったし、自分の給料も上げたかったから。何にせよ、とにかくお金が欲しかったんです。

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コメント12件コメント/レビュー

「会社は従業員のために存在しません」この考えがおかしい。お客様は神様を文字通りで受け取ったモンスター○○ではないか?資本主義でいうなら所詮欲望駆動型、会社は会社のもの。儲けの為。理想であり、丸くおさまるのが大概、「経営者、従業員、消費者、地域などの人々が皆ニッコリできるバランス」にあるというだけだ。従業員を経営者・消費者が苛めても質の低下や不正が増えて結果、経営者・消費者にも不利益だろうし、経営者苛めても会社撤退・倒産等で他も不利益を被る。目先の利益しか見ないモンスターこそ最大の害悪。モンスターはどの立場についても問題を起こす。本記事では従業員の為の立場でもなく、自分の為でしかないようですね。それに改革が馬鹿のする事と言ってますが本人は馬鹿とは思ってないのではないか?(要は皮肉)自分の代だけ穏便に楽して美味しく頂くのが賢いとする隠れモンスターをね(天下り等)。本当に賢い者は先も大局も見て必要があれば動く。無闇闇雲には動かないだけ。(2008/10/21)

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「会社は従業員のために存在しません」この考えがおかしい。お客様は神様を文字通りで受け取ったモンスター○○ではないか?資本主義でいうなら所詮欲望駆動型、会社は会社のもの。儲けの為。理想であり、丸くおさまるのが大概、「経営者、従業員、消費者、地域などの人々が皆ニッコリできるバランス」にあるというだけだ。従業員を経営者・消費者が苛めても質の低下や不正が増えて結果、経営者・消費者にも不利益だろうし、経営者苛めても会社撤退・倒産等で他も不利益を被る。目先の利益しか見ないモンスターこそ最大の害悪。モンスターはどの立場についても問題を起こす。本記事では従業員の為の立場でもなく、自分の為でしかないようですね。それに改革が馬鹿のする事と言ってますが本人は馬鹿とは思ってないのではないか?(要は皮肉)自分の代だけ穏便に楽して美味しく頂くのが賢いとする隠れモンスターをね(天下り等)。本当に賢い者は先も大局も見て必要があれば動く。無闇闇雲には動かないだけ。(2008/10/21)

高邁な意思を持って、就職氷河期を到来させたということですね。(2008/10/20)

一般論ですが、会社は従業員のために存在しません。会社は、ご利用いただくお客様のために存在します。社長も含めて従業員(身内)のために会社を運営しているような、そんな会社の商品はどんな不正が隠れているか分からないので、買いたくないです。(2008/10/20)

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三品 和広 神戸大学教授