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【誤算の研究】市光工業

日産の横暴か、私物化か お家騒動が招いた減益病

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2008年10月23日(木)

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 日経ビジネスは2009年10月に創刊40周年を迎えます。そのカウントダウン企画として、過去の記事の中から、人気シリーズ企画「誤算の研究」を毎日掲載していきます。企業戦略の現実は理論書の通りには進みません。戦略の本質は、むしろ誤算の中に隠れています。その後の成長を確実なものにした企業あり、再編の渦に巻き込まれて消滅した企業あり、ケーススタディーの対象は様々です。記事に描かれているのは過去の出来事とはいえ、時代を超えた企業経営の指針が読み取れるはずです。

* * *

1991年7月1日号より

 日産自動車系の部品メーカー、市光工業で会長が解任された。長男を社長に据えようとした実力会長を社長派が力で阻止したのだが、お家騒動の間に合理化に立ち遅れ、収益力低下を招いた。

(寺山 正一)

 「日産自動車からみれば、市光工業なんて虫けらみたいなものだ。いくら1部上場企業だと威張ってみても、自動車部品メーカーには経営の独自性なんてないに等しい」。日産系の自動車照明機器メーカー、市光工業の会長だった塚谷哲也氏は、怒りを隠しきれない表情でこう語った。「僕が突然解任された裏で日産が必ず糸を引いている。今まで日産のために働いてきたのに、この仕打ちはない」。

解任の音頭を取った高田社長 「あくまでも当社経営陣の判断」

 解任劇は2月28日、東京・五反田の市光本社で開かれた定例役員会で起きた。関係者の話では持丸守常務が突然立ち上がり「塚谷氏の代表取締役と会長を解任する緊急動議を提出します」と硬い表情で発言。決議は「こんなことをしていいのか」、「こういう時には起立すべきだ」といった怒号の中で進み、賛成13、反対5の賛成多数で可決。その瞬間、あぜんとしながら事態を見つめていた議長の塚谷氏は取締役に降格となり、ほぼ14年間の市光の最高責任者の地位から滑り落ちた。

 解任の音頭を取った高田重男社長は「日産とは関係ない。あくまでも当社経営陣の判断」と塚谷前会長の憶測を強く否定する。「14年間も市光に君臨してきた塚谷さんは会社を私物化し、取締役会も会長の決定を事後承諾する機関と化していた。加えて今年に入り、実力も十分ではない息子さんを社長にしたいと言ってきた。何回か話し合ったが折り合いがつかず、緊急動議に持ち込むほかなかった」。

 問題となった塚谷前会長の長男、卓郎氏は1947年生まれの44歳。米国スタンフォード大学の大学院を修了後、日産などを経て、85年12月に市光に入社した。取締役に就任したのは89年で、実力のほどはともかく、経験が浅いのは否めない。

「息子を社長に推したのは日産支配を防ぐため」と塚谷前会長

 塚谷前会長は「息子を社長に推した最大の理由は日産から社長が来るのを防ぐためだ」と強調してみせる。ことの成り行きはこうだと言う。

 87年4月8日、日産の細川泰嗣監査役(当時は副社長)が塚谷社長(当時)に対し、「日産から人を出すから来期で辞めて欲しい。もしのめないのなら、仕事をよそへ回す」と迫った。それを突っぱねると、生産量が少なくて儲けが薄い商品を市光に発注し、利益の出る商品を一部トヨタ自動車系の小糸製作所に回すなど、目に見えない圧力をかけ始めた。

 市光社内でも「社長が頑張るから日産と取引が減った」との声が高まった。不安を感じた塚谷前会長は89年6月、社長の座を高田氏に譲り、「日産の介入に屈しないよう」強く言い渡した。

 ところがその後も日産の圧力が続いたため「高田社長では市光の独立は守れない」と判断、卓郎取締役(当時)を社長に据えようと決意した。そして解任3日前の2月25日、高田社長と共に日産本社を訪れた塚谷前会長に対し、日産の購買担当役員は1時間半にわたり退任を迫った。このような経過の後、解任劇が起こった。

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