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金融危機、「時価会計凍結」の勘違い

  • 杉田 庸子

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2008年10月24日(金)

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 リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した世界の金融市場の混乱は、まだまだ先の見えない状況が続いている。そうした中で、日米欧の各国で浮上しているのが、「時価会計を緩和しないと、金融危機は解決しないのではないか」という議論だ。実際、米国や欧州、そして日本でも金融機関を中心に「時価会計を中止すべし」という主張がなされてきた。

 こうしたこともあり、日本でも「日米欧が一斉に、金融機関や企業が保有する債券や証券化商品などの金融商品で、時価会計の適用を一部凍結する方向で動き出した」という趣旨の報道があった。

 しかし、筆者はこうした記事を目にし、首をかしげていた。時価会計を「凍結すべし」という主張はあるかもしれないが、具体的に会計基準を凍結の方向に進む動きは、世界のどの国でも起きていないからだ。

 こうしたこともあって、日本の会計基準の設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)は、プレスリリースで、「一部報道で、企業会計基準委員会で時価会計一部凍結や金融商品の時価会計の適用の緩和を決定したかのような記事が出されていますが、憶測記事であります」と明言している。

凍結ではなく、現行基準の中での調整

 それでは時価会計の「凍結」ではなく、何が起きているのか。日本のASBJや 米国のFASB(米国会計基準機構)及びSEC(米証券取引委員会)、欧州のIASB(国際会計基準審議会)は、今年9月末から10月にかけて、相次いで時価会計の適用に関わるガイドラインを発行した。ここで議論しているのは、既存の時価会計の枠内で、金融危機への対応をするためのガイダンスである。

 これらのガイダンスは、マーケットが総崩れの状況下に置かれている有価証券の時価をどのように取り扱うかに焦点を当てている。つまり時価会計自体は維持したうえで、特別な状況下に置かれた有価証券の時価をどのような形で算定するのか示したのだ。

 昨今の金融危機は、金融市場が機能せず、信用収縮が起きたために、金融機関に信用不安をもたらした。リーマンやAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)など大手金融機関が危機に陥ったのは、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)から派生したCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)など、基本的に市場ではなく相対で取引される金融商品が、買い手がつかないことで価格が急速に下落したことによる。

 こうした中で、金融危機のさらなる深刻化を防ぐために、CDSなどの金融商品に関する時価(公正価値)の取り扱いを統一することが喫緊の課題となり、各国足並みを揃える形でガイダンスを発行したわけだ。

時価と公正価値

 ここで話題になっている時価は、英語ではフェアバリュー(fair value、公正価値)と呼ばれる。米国会計基準及び国際会計基準では、有価証券は「公正価値」で評価すべしとしている。

 一方、日本の金融商品会計基準では、有価証券は「時価」で評価すべきであると言っている。両者は基本的に同じものだ。有価証券の時価=公正価値とは、市場価格がある場合はそれに基づいて評価され、市場価格がない場合には合理的に算定された価額になる。

 米国では、当連載でもたびたび述べてきたように、公正価値を3つのレベルに分けている(2007年10月「サブプライム、追加損失の有無はここを見よ」及び2008年9月「『負の資産隠し』を許した米国の盲点」を参照)。

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