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世界が求める抗菌素材

2008年10月31日(金)

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 社員わずか7人の零細企業に、世界の熱い視線が集まっている。

 大阪市に本社を置く「ミューファン」がそれだ。

 2001年に発売され、ヒット商品となった資生堂の制汗デオドラント「Ag+(エージープラス)」でよく知られているように、銀が放つイオンには細菌やカビなどの増殖を防ぐ抗菌作用がある。この銀イオンの特性を使い、抗菌作用のある繊維やプラスチック製品を開発するのが、ミューファンだ。

 ミューファンが開発する抗菌機能を持った糸を編みこんだ布地を使った布巾や衣服、純銀を使ったパウダーを練り込んだプラスチックを使ったまな板や保存容器などが国境をまたいで販売されている。

 国内・海外双方での販売代理店を務めるのは、総合商社の伊藤忠商事。ミューファンを担当する同社繊維カンパニー・ファッションアパレル部門第一部長代行の小川豊氏は「食品や衣服の抗菌の意識が高まっているのは日本だけではない。ミューファンの製品は韓国や中国といったアジア圏、それにオランダやスペインなどの欧州圏でも広く注目を集めている」と語る。

O-157事件が開発のきっかけ

ミューファンを開発した嶌崎佐太郎社長

ミューファンを開発した嶌崎佐太郎社長(写真:後藤 究)

 創業は1998年6月。かつて家業の織物業を継ぎ、失敗した経歴を持つ嶌崎佐太郎社長(58歳)が、再起をかけて作ったのが、抗菌機能を持つ特殊糸、ミューファンである。開発の裏側には、96年に大阪の小学校で大腸菌O-157に集団感染し、3人が死亡した食中毒事件がある。

 「繊維で何か貢献できないか」。嶌崎社長は抗菌機能を持った特殊な糸の開発に着手する。銀イオンの抗菌作用は、古代のインドやギリシャにおいても、食器や保存容器に銀を利用して長期保存を行っていた史実からも分かっていた。嶌崎社長はこの点に着目し、抗菌作用を持つ糸の開発に着手した。

 しかし、銀は錆びやすいという特性がある。錆が発生すれば見た目も悪くなり、抗菌作用が弱まるという弱点があった。銀を錆びさせずに糸を作る。ここに苦労があった。

 厚さ9マイクロメートル(マイクロは100万分の1)という薄い透明なポリエステルフィルムに真空蒸着という技術を用いて純銀の被膜を作ったシートを作り、2枚のシートを被膜面で隙間なく張り合わせて1枚のシートを作る。

 そのシートを横幅約150マイクロメートルに切って作られた特殊糸がミューファンだ。ミューファンの断面は縦約18マイクロメートル、横約150マイクロメートルと長方形となる(横幅約230マイクロメートルの糸もある)。

抗菌で防臭機能も

ミューファンが編み込まれた布巾

ミューファンが編み込まれた布巾。所々がキラリと光り、銀糸が入っていることが分かる

 特殊糸ミューファンを、生地の中に編み込むだけで、抗菌作用が持続する。雑菌は臭いの素になる。そのため、ミューファンを織り込んだ布巾は、水ぶきした後でも布巾特有の臭いを発しにくくなるという効果もある。

 ミューファンを編み込んだ布巾に光を当てれば、所々がキラリと光る(写真)。特殊糸ミューファンの量は、布全体の1%程度で十分だという。特殊糸ミューファンは細くともポリエステルフィルムを張り合わせた糸であるため、一般的な糸よりも少し硬い素材ではあるが、編み込む量が全体の1%で効果が出るため、さほど気にならない。

 また、ほかの抗菌作用をうたう不織布の多くが、出来上がった製品に抗菌剤を付着させるのが一般的であるのに対し、特殊糸ミューファンは素材そのものに抗菌作用を埋め込んでいるため、洗濯などによってその効果が薄れることは少ない。

 「実際、200回の洗濯を繰り返した後でも、抗菌力は衰えなかった」と嶌崎社長は胸を張る。

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「世界が求める抗菌素材」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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