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“日本型”成果主義が、ダイバーシティーを阻む

谷口真美
早稲田大学商学学術院教授に聞く(後編)

2008年11月1日(土)

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 多様な人材を活用し、製品開発や業務改革などのイノベーションを引き起こす。こうしたダイバーシティーマネジメントの本質を誤解し、単に女性や外国人の人数を増やすことに終始している──。

 日本のダイバーシティーマネジメント研究の第一人者である谷口教授は前回、こう日本企業の現状を喝破した。では、どうしたら日本企業は真のダイバーシティーマネジメントを実践できるようになるのか。

 まずは、異質で多様な人が集まるがゆえに生じるコンフリクト(衝突)をマネジメントする能力を身につける。さらに、成果主義が主流となった日本企業の人事評価制度を改めなければならないと、谷口教授は主張する。

(本誌による要約日経ビジネスマネジメント 中野目 純一)


谷口 真美(たにぐち・まみ)氏
1996年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了、経営学博士号を取得。広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻助教授、米ボストン大学大学院組織行動学科エグゼクティブ・ラウンドテーブル客員研究員などを経て、2003年早稲田大学大学院商学研究科助教授。2007年同准教授。2008年4月から現職。著書に『ダイバシティ・マネジメント 多様性を生かす組織』(白桃書房)など
(写真:佐藤 久、以下同)

 前回の最後に、日本企業が本物のダイバーシティーマネジメントを実現するためには、コンフリクトを恐れない姿勢を身につけることが必要だと指摘しました。

 異質な人たちが集まれば、必ず意見が対立してコンフリクトが起きます。それを解消してメンバーの協力を引き出すことが求められますが、日本人の多くはコンフリクトをマネジメントする能力を欠いています。

 それどころか、コンフリクトを極力避けようとする。コンフリクトをきっかけに議論を戦わせることから、イノベーションが生まれる。そうした可能性があるにもかかわらず、その芽を摘んでしまうのです。

 もっとも、コンフリクトをマネジメントして社員の多様性を生かす能力は、トレーニングによって開発することが可能です。

 求められる能力には、大きく2つの側面があります。1つは、他者に関心を持ってその存在を受容すること。もう1つは、自分を客観的に把握して感情をコントロールできるようになることです。

 この2つの側面からなる能力は、多様な人で構成される組織やチームで働く経験を実際に積まなくても、そうしたチームを擬似的に体験するシミュレーションで培うことが可能です。

チームに貢献していても評価されない

 ただ、今の日本企業の人事評価制度は、ダイバーシティーマネジメントと相容れないものになっています。いわゆる成果主義の導入によって、1つの尺度だけで社員のパフォーマンスを測定する傾向が強まっているからです。

コメント6件コメント/レビュー

日本の場合、人事も現場の管理職も「空気を読んで組織に適応する」ことのプロではあっても、人材活用という点でのプロではなく、むしろ変にプロとして突出しようとすると既存の管理職や人事部門の脅威となるので「KY」の烙印を押されて疎外されるリスクの方が高くなるということではないでしょうか。(2008/11/04)

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「“日本型”成果主義が、ダイバーシティーを阻む」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本の場合、人事も現場の管理職も「空気を読んで組織に適応する」ことのプロではあっても、人材活用という点でのプロではなく、むしろ変にプロとして突出しようとすると既存の管理職や人事部門の脅威となるので「KY」の烙印を押されて疎外されるリスクの方が高くなるということではないでしょうか。(2008/11/04)

・日本語にできる概念はカタカナ用語をなるべく避けいただきたく。・人事部が支配してるだけではなく、部署長の好き嫌いで決める。・成果主義を個人成果主義にしていること。不要な段階別相対評価abcdで皆で出した成果を個人分けてしまうこと。子飼の部下にはaを与えてしまう。すると低い評価をもらった人は以後評価を諦める。・成果狙いのいやらしい奴は情報をしまいこむ。己が格好良く評価される場面のみで露呈。皆の尊敬をそのため組織としての方向動きが遅れる。それを管理能力のない上長は弊害に気づかず評価を与える。・具体策を生み出せない能無し管理側は、「よい事をして悪いことはしないようにしましょう」発言で己の威厳を保とうとする。または借り物の管理ツールを押し付ける。筆者は現場のより深い観察が必要。(2008/11/04)

確かに人事部にかなりの権限があることは間違いないでしょう。ただ、会社の人事すべてを変える権限を持っているとは思えません。管理する権限はあるとは思いますが…フリーターや女性が雇用されない背景に早期退職や内定辞退した時に「ほら、いわんこっちゃない」と言われる可能性があるため、その責任から逃れるために新卒採用という従来の方法を変えないという一説があります。この話から見ても、本当に権限が人事部にあるとするならば、独断的で先進的な仕組みを作る会社が出てきてもおかしく無いと思うのですが、日本では記事のとおり、まだ多様化が進んでいません。となると、多様化しないのは人事部のせいとは言えないと思うんですが…どうでしょうか。(2008/11/04)

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