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「企業文化」は魅惑的だが、思考停止させるキケンな言葉

  • 松田 大介

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2008年11月14日(金)

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 本コラムは久しぶりの更新だ。前回(6回目)を終えた後、急遽「すかいらーくMBOの深層」という全5回の集中連載を執筆していたためだ。この原稿を何とか5回分まとめて書き上げた後、筆者は久しぶりに自宅で『私の頭の中の消しゴム』という韓国映画を見た。これは主人公の1人である女性の記憶が少しずつなくなっていってしまう映画なのだが、鑑賞後、ふと思い浮かんだことがあったのだ。

「“あなたの想い出に残る映画を1つ挙げてください”と聞かれたら何と答えようかな?」

 続けてもう1つが思い浮かんだ。
「あれ? “想い出に残る”というのは、どんなものだろう?」

 「想い出に残る」という表現のように人によって喚起されるイメージが千差万別な言葉がある。辞書を引いたら誰もが分かるのが言葉だとすれば、本連載のテーマであるM&Aの世界についても同じように、言葉ならぬ“コトバ”がある。それが「企業文化」である。

居酒屋で聞かれる、「企業文化」のよくある会話

 「この合併が成功するかどうかは、これから両社の企業文化が融合できるかどうかにかかっている」といった感じで使われる「企業文化」とは、実際にはどんなものなのだろうか。読者の友人の中に、M&Aによる合併をしたけれども、どうもうまくいっていないという会社に勤めていらっしゃる方がいるならば、夜の居酒屋に誘って質問している姿をイメージしていただきたい。「今そうなっている理由を挙げるとしたら何なのかな?」。

 その友人からの返答は「カルチャーっていうか、企業文化が合わなくてね」という可能性はかなり高い。そうするとこちらも何となく「そんなものかな」と思えてしまって、「そうだなぁ。大変そうだね」と口に出してしまうかもしれない。

「企業文化」という、思考を停止させる恐ろしいコトバ

 ここで「ちょっと待った!」である。企業文化が合わない、とはどういう状態なのだろうか。筆者の経験で言えば、これを明確に答えられる人はかなり少ない。

 企業文化というコトバは魅惑的で、時に悪魔的なコトバだと感じさせられることさえある。なぜならば、「企業文化が合わなくて」という台詞の後には、それを聞いた大半の人が「そんなもんだよねぇ」と納得してしまうからだ。筆者はこのようなシーンを何度か見るうちに「企業文化とは思考を停止させるコトバ」だと考えるようになった。

 大変興味深いことだが、「企業文化」のような、定性的で、人によって表現がバラバラ、曖昧で無形なものについて議論すると、概ねその議論は発散する。発散しないように議論用の資料などを準備した経験がある人は、企業文化の説明を文字に落とす難しさを痛感している。

 「企業文化の融合」という課題に立ち向かい、乗り越えることは想像しているよりもはるかに難しい。問題はこのような特性を持つものを「融合する」ことだ。具体的には「融合」された状態が企業運営に落とし込まれることがM&Aの成否を決める、という厳しい現実が待ち受けている。読者の皆様であれば何から手をつけるだろうか。

「企業文化とは何ですか」と聞かれたら何と答える?

 企業文化の定義について聞かれた時は「その企業における意思決定、価値観、活動様式の組み合わせの集合体、もしくは総称と捉えたらいいと思います」と筆者は答えている。筆者のこの定義には理由がある。「企業文化が違う」というような台詞を発している人が認識をしている事象が、状況によって1つの場合もあれば、複数のことを指している場合もあるからだ。

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