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消えゆく「ポニョ」のふるさと~世界遺産か地元の利便性か

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2008年12月2日(火)

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水洗トイレに感激するフランス人

 ある日、友人から1通のメールが届いた。フランス人と結婚し現在スイスに住んでいる友人が、過日パートナーを伴って帰国した際のお礼である。そこには、パートナーが訪日時に撮影したという写真が添付されていた。

 数点の写真には、皇居や桂離宮に混じって、なぜか個人宅の水洗トイレが写っていた。何でも、タンクの上で手が洗えるようになっているトイレに、「狭い空間を有効に使う知恵が素晴らしい!」といたく感動していたのだそうだ。これ以外にも、「アートなスライドドア」襖を持ち帰りたいと友人に提案したり(当然、即時に却下)、湯たんぽを買ったり、と日本を満喫した様子だったという。

 外国人の様子を見て「確かに日本でしか見ないかもしれない」と気づくことは意外と多い。カラオケのアダルト映像に大騒ぎをする外国人、渋谷のスクランブル交差点を飽くことなく眺めている外国人、豆腐の製造工程を見るために早朝から豆腐店の前に立つ外国人等々、日常の中にも外国人にとって新鮮なものはあふれているようだ。

 また逆に、旅先で感動したものや、「珍しい」と感じたものが、地元の人々にとっては何の変哲もないもの、という経験をした人も少なくないのではないだろうか。日本人同士でさえあるこういった見方の違いが、ある意味で旅を面白くしているのは確かだ。

 新しい発見、新しい出会い、新しい感動等々、演出されたものからは得られない良さがそこにはある。しかし一方で、この見方の違いが不幸を呼んでいる場合もある。外から見ると魅力があるにもかかわらず、それに気づかず埋もれている資産は少なくないのだ。

当事者に自覚がない知的資産

 近年、経済産業省を中心に「知的資産経営」への取り組みが進められている。「知的資産」とは、従来ある特許などの「知的財産」に加え、人材や組織力、技術、ブランドなど競争力の源泉となっている目に見えない資産を指している。そして、それを認識して有効活用することが「知的資産経営」なのである。

 この知的資産経営の推進には弊社も参画しており、すでにいくつかの「知的資産経営報告書」の作成を手がけてきた。報告書作成の際には、対象となる企業の競争力の源泉を特定していくために多面的に評価を行う。そして多くの場合、特定された資産について、当事者がその価値に気づいていない。あまりにも「日常」であり、「当たり前」すぎて、かえって当事者が不思議がるという場面も散見されるほどだ。

 同じことが、地域にも言えるのではないだろうか。それは観光だけではない。日本を見渡してみると、ある特定地域に同種の企業、特に製造施設が集中しているケースがある。ある製品の生産量シェアを、思わぬ地域が占めていることがある、というのがこれだ。

 その理由は、交通網だけでなく、地形や水量、気候など自然環境によるものも少なくない。昨今の企業誘致とは異なり、歴史的背景があって集中しているのだ。こういった施設は、地元民から見れば「当たり前」の風景であり、施設自体や設置された背景が地域の資産であるという自覚にはなりにくい。

 静岡県。温暖な気候に恵まれたこの地域は、富士山や伊豆半島という代表的な観光資源、由比の桜海老や浜松のうなぎ、掛川のお茶といったブランド食材でも有名である。しかし、この県が、日本一のピアノの出荷量・出荷額を誇り、プラスチックモデルキット(プラモデル)の全国出荷量の8割を占めていることは広く知られていない。

 プラモデルの中には、スーパーカーやミニ四駆に交じって、世界的にファンの多いガンダムも含まれている。例えば、このガンダムの製造工程を見学し、さらに工場限定フィギュアが手に入るとしたら、どうだろう。日本のサブカルチャーに関心のある外国人のみならず、日本の多くの男子が魅力を感じるのではないだろうか。

 多くの製造現場では、その工程自体が持つ資産としての可能性について気づいていない。メーカーにとって、製造施設の付加価値には観光は含まれていないし、製造施設を見る視点は効率や安全など全く別のものである。だから当然と言えば当然ではあるが、少し視点を変えると、様々な可能性も見えてくるのだ。

消えゆく「ポニョ」のふるさと

 さらには、残念ながら、訪れる人々にとって価値あるものが、その価値に気づかない、あるいは気づいていても生活の利便性等を優先する地元の人々によって破壊されていくケースもある。

「ポニョ ポニョ ポニョ 魚の子ぉ~」。これは日本人の大半が一度は耳にしたことがある、現在の日本で最も有名な曲の1つだ。そして、この「崖の上のポニョ」の舞台だと言われているのが、広島県福山市の鞆の浦(とものうら)である。

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