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第12話「円高だから海外で生産するんです」

2008年11月12日(水)

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前回までのあらすじ

 ジェピーの社長、財部益男と経理部長の団達也は、関東ビジネス銀行に出向き、24時間でまとめたリストラ案を幹部に説明していた。

 「経営の目的はマーケティングとイノベーションを通じて顧客を創造すること」――。

 達也は、学生時代の恩師、宇佐見の言葉を頼りに瀕死のジェピーを救うために自分は何をすればいいのかを考え抜いた。

 達也が出したリストラ案の柱は、ジェピーが特許を持つ製品に工場の生産体制を特化することだった。具体的な方策は、豊橋工場の三沢常務と金子副工場長が、夜を徹してまとめたものだった。

 応接室で達也の話を聞いていた佐古田五郎・融資部長は、達也のリストラ案をはねつけた。達也は佐古田の態度に不審を抱いた。そしてイギリスの投資ファンドにジェピーの全株式を売ると応酬した。


 「君の言っていることが全く理解できない」

 佐古田は達也を睨みつけると、益男に向かって言った。
 「財部さん。その投資ファンドって何なんですか」
 「それは……」

 益男はしどろもどろになった。益男もまた英国の投資ファンドのことは初耳だったのだ。
 達也は間髪を入れずに答えた。

 「ジェピーは世界中の企業が欲しがるマイクロスイッチの特許を持ちながら、60億円の借金が返済できず破綻寸前です。なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。

 その理由は知識を現金に換える方法を知らなかったからです。もし、これまでの経営者がこのことに気づき、マイクロスイッチに関する知的財産を上手に現金に換えることができていたとしたら、現在価値にすれば600億円の新たな現金、つまりフリーキャッシュフローを生んだはずです。言い換えれば、ジェピーの株主価値は600億円ということです。

 ところが、ジェピーには知恵がなかった。それでも、つい最近、英国の投資ファンドに勤める友人から、100億円で全株式を譲り受けたいと、オファーがありました。先ほどは、そのことを申し上げたまでです」

 達也は30歳になったばかりの青年とは思えない落ち着いた口調で、老獪な佐古田に説明した。
 「それで取締役になったばかりの君は、何か大きな勘違いをして、株主に断りもせず、ジェピーの株式を英国の投資ファンドに売却しようなどと言ったんだな」

 佐古田の言葉使いが急に乱暴になった。

 (動揺している!)

 その話しぶりから、達也は佐古田が誰かに何かを強要されているのは間違いないと思った。

 「600億円の価値がある会社を、なぜ100億円で売る必要があるのでしょうか」
 達也は反論した。すると、それまで黙って聞いていた強田が2人の会話に割り込んだ。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第12話「円高だから海外で生産するんです」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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