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第15話「経理部は工場の努力を正しく評価しようとしない」

2008年12月3日(水)

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前回までのあらすじ

 メーンバンクである関東ビジネス銀行に61億円もの債務を負うジェピーは、経理部長である団達也の指揮で、再建の具体策を練っていた。

 残された時間は半年。経理課長の細谷真理は、事業計画を会計数値に置き換えるよう達也に命じられ、徹夜で予想損益計算書をまとめた。

 真理はその過程で、経理部の仕事とは何か、そして会計と経営とは何かという自分の仕事の本質について学んでいた。それは、達也がジェピーの再建のために最も必要な会計の“マインド”だと考えていたことだった。

 再建の柱の1つは、豊橋工場を閉鎖して長野工場に集約することだった。閉鎖が決まった豊橋工場では、従業員の説明に工場長でもある三沢充常務が奔走していた。副工場長の金子順平は、得意のロボット開発に専念できると思い、長野工場への転勤は二つ返事で応じた。一方、業務課長の木内修二は子供の学校のことを理由に転勤を逡巡する素振りを見せていた。


豊橋工場

 金子に達也から電話が入った。できるだけ早く長野工場でスイッチの増産に着手するよう指示されたのだ。つまり、速やかにロボットを移設して生産体制を整えよということだ。そんなわけで、金子は4人の部下を連れて塩尻に移動する準備に着手した。

 来週、豊橋から塩尻に移るのは三沢を入れて6名になった。木内は残務整理を理由に、移動を1カ月先に延ばした。金子が達也からの指示を木内に報告すると、木内は「長野工場の様子を、毎日連絡してください」としきりに金子に言った。

 100名近い従業員がジェピーの豊橋工場を去ることになった。彼らは豊橋から離れたくないのだ。とはいっても、これからの生活を考えると職を失うことは大きな不安だ。

 豊橋工場閉鎖の事情を従業員に説明したのは、三沢だった。三沢は強い反発を覚悟していたが、誰からも過激な発言はなかった。それは、会社の置かれた状況を考えればやむを得ない処置であると理解したからではなく、「仕方ない」と、誰もが自分に思い込ませるしかなかったからだった。

 だが、そんな従業員の気持ちを逆なでする事件が起きた。

 三沢が工場閉鎖を従業員に告げた日の翌週、社長の財部益男がやってきた時のことだ。従業員を前にして、

 「皆さん全員が長野工場に移ってくれるものと期待しています」

 と言ったのだ。木内があちこちで言いふらしているように、これは「体の良いリストラ」ではないかと従業員に思わせる発言だった。それでも、ストライキを起こしたり、訴えてやると言いがかりをつける者は一人もいなかった。通常の退職金に給与の1カ月分を上乗せされることが決まっていたからだった。

 この配慮は、三沢が社長の益男を説得して実現したものらしい。それだけではない。三沢が毎日、朝から晩まで従業員の転職先を探すために、豊橋地区の会社を回ってくれているのを皆が知っていたからだ。

 もちろん全員の働き先が決まったわけではない。それでも従業員たちは、そんな三沢の誠実さとやさしさに胸を打たれていた。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第15話「経理部は工場の努力を正しく評価しようとしない」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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