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2008年12月10日(水)

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 第14回から第17回にかけて、サービス業における生産性向上のための人材マネジメント改革ケースについて紹介した。

 サービス業における人材マネジメントの改革事例を俯瞰すると、従業者に対する動機付けの在り方が異なっていることに気がつく。1980年代から90年代初頭にかけての高度成長期にもてはやされた年功序列・終身雇用制度では、「安全・安心欲求(生活の安定性など)」や「上昇欲求」に報いることによる動機付けが重視されていた。

 90年代半ばから多くの企業が導入を開始した成果主義制度では、「成果に報いる(成果に応じて給与を上げる)」ことによる動機付けが重視されていた。しかし、改革事例では、従業者の内発的動機付けという、従来の動機付けの考え方とは異なる考え方が用いられている。

 経済全体がサービス化していく中で、このようなトレンドはサービス業に限ったものではないかもしれない。ただ、サービス業の従業者には「社内の階層などの上昇よりも顧客に対して提供できる価値の上昇」を求めるという側面や「感情労働」という側面、「共感」が強く求められるという側面は、サービス業により強く顕在化している特性であると考えられる。その点についても詳述したい。

 今回は、第14回から第17回にかけて紹介した事例を参考にして、サービス業の人材マネジメント改革論、特に従業員に対する「動機付けのあり方」について考えてみたい。

生産性を高めるために必要な人材の質の向上

 サービス業において生産性を高めるためには、大きく分けると付加価値を向上させるという方向性と、効率性を向上させるという方向性がある。第2回から第11回までの連載では、付加価値を向上させるために求められる取り組みについて紹介してきた。

 これらの取り組みは、“どちらかというと”需要サイドに立った視点であり、「いかにして顧客にとって魅力的なサービスを行うのか」という視点と言い換えることができる。一方で、効率性を向上させるという取り組みについては、第12回第13回でその取り組みを紹介した。効率性向上の取り組みは、“どちらかというと”供給サイドに立った視点であり、「いかにしてサービスを効率的に提供するのか」が重要となる。

 今回の連載では、顧客に対する付加価値の向上と、効率性の向上の両方を支える基盤として不可欠と考えられる「人材マネジメント改革の方向性」、特に今回は従業員に対する「動機付けの在り方」について考えてみたい。

行き詰まりを見せる成果主義

 ジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれた頃、日本企業の多くは年功序列的な処遇を採用しており、その背景には、「安全・安心」が動機付けになるという時代背景や社員の考え方があった。また、年功序列的な処遇制度においては、等級制度などの制度化で序列が価値観として徹底され、それを上がることが中長期的コミットメントや組織求心力にもつながっていった。この時期には、目に見える「等級」などの“制度”化によってやる気を引き出していた。

 しかし、90年代に入り、バブルが崩壊すると、誰もが昇格できるというわけではなくなった。職能資格制度、専門職制度などの制度的序列上昇にやる気の源泉を求めることは明らかに難しくなった。

 そこで、多くの企業は成果主義的な処遇にシフトしていった。このシフトに対して社員は、「がんばったらがんばった分だけ報酬が得られる」として歓迎した。

 しかし、2000年代初頭に入り、成果主義の流れは行き詰まってきた。「成果に応じて給与が上がる」と言われても魅力を感じなくなってきているのである。1990年代以前は年功序列的な処遇が定着しており不公平感があったため意味があったと考えられるが、年功序列的な処遇が多くの企業で崩壊している現在では、社員に成果主義は魅力的に映らない。

 また、成果主義を導入した結果、モラールがダウンするなどの問題も発生している。結局、成果主義も、年功序列的な処遇から大きな変化をもたらしたと捉えられてきたが、その実は単なる「制度」の置き換えに過ぎなかったのである。制度化することによって「やる気」を引き出すこと=外発的動機付けに頼っていてもやる気は引き出せないということが分かってきたのである。

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