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【誤算の研究】ソーテック(パソコンベンチャー)

自社ブランド拡大急ぎ類似商品で勇み足

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2008年12月5日(金)

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 日経ビジネスは2009年10月に創刊40周年を迎えます。そのカウントダウン企画として、過去の記事の中から、人気シリーズ企画「誤算の研究」を毎日掲載していきます。企業戦略の現実は理論書の通りには進みません。戦略の本質は、むしろ誤算の中に隠れています。その後の成長を確実なものにした企業あり、再編の渦に巻き込まれて消滅した企業あり、ケーススタディーの対象は様々です。記事に描かれているのは過去の出来事とはいえ、時代を超えた企業経営の指針が読み取れるはずです。

* * *

1999年10月18日号より

戦略商品がデザインを違法に模倣したとして販売中止に追い込まれた。
自社ブランド商売の拡大を急ぐあまりの勇み足は信頼失墜を招く。
安心して製品を買える会社へ向けた基盤固めが急務だ。

(三橋 英之)

 「法治国家である日本で、あんな対応がまかり通りるとは、到底承服できない」。パソコン専業のベンチャー、ソーテック(横浜市)の大辺創一社長は憤懣やるかたない表情で訴える。

 アップルコンピュータが同社製品のデザインを模倣したとして、ソーテックを提訴した一件は、今年9月20日に東京地方裁判所が仮処分を決定。ソーテック製パソコンの「e-one(イーワン)」の販売禁止が決まった。

 まだ、仮処分の段階であり、本訴はこれからというものの、最終的な判決が下るには少なくとも1年はかかる。裁判でソーテックの主張が入れられたとしても、仮処分によって失った販売機会は大きく、一旦傷ついた企業イメージの回復は容易ではない。実質的にソーテックはアップルに負けた、と言える。だが、大辺社長は「審理のプロセスに大いに疑問があり、仮処分は不当」と徹底抗戦の構えだ。

 ソーテックは何を不当と言うのか。それを説明する前に、訴訟の経緯を簡単に振り返っておこう。

弁護士と相談、問題なしの結論

 ソーテックがディスプレー一体型のパソコン、「e-one433」を発売したのが7月20日。1カ月後の8月24日、アップルは、ソーテックを相手取り、民事訴訟の提訴と仮処分命令の申し立てを東京地裁に起こした。e-oneがアップルのパソコン「iMac(アイマック)」のデザインを違法に模倣しており、類似商品によって消費者を混同させる行為を禁じた「不正競争防止法」に反する、という主張だ。東京地裁は9月20日、アップルの主張を認め、e-oneの製造・販売を禁じる仮処分を下し、翌21日にソーテックはe-oneの販売を中止した。

 2つの製品はソックリとまではいかないが、全体的な雰囲気はよく似ている。裁判所もそうした総合的な類似性を問題視した。「いずれも、青色と白色のツートンカラーの半透明の外装部材で覆われた全体的に丸みを帯びた一体型のパーソナルコンピューターであり、曲線を多用したデザイン構成、色彩の選択、素材の選択において共通するのみならず、細部の形状においても多くの共通点を有する」(仮処分の決定書)。

 「e-oneは当社のオリジナルデザイン」と繰り返す大辺社長だが、両パソコンが似ていることまでは否定しない。7月のe-one発表の席上では、「弁護士にも相談し、何ら問題はないという結論に達している」と答弁し、アップルから「模倣である」と訴えられる可能性を事前に認識していたことを認めるかたちとなった。ならば、裁判所が先のような判断を下す可能性を予想できなかったのだろうか。

 ソーテックは事前に、iMacに関して、製品デザインを保護する意匠登録がなされていないことをつかんでおり、「意匠権侵害が争点になる可能性はないと判断した」(中尾俊哉取締役)。意匠権のほかに、製品デザインの類似性を問題にする方法としては「不当競争防止法」が残されている。この法律を使えば、意匠や商標が登録されていない場合でも、損害賠償や販売の差し止めなどを請求できる。ソーテックは、不正競争防止法による提訴についても「事前に検討して問題なしと判断した」(同)と言う。

 アップルが提訴の根拠とした不正競争防止法が禁じる「周知表示・混同惹起(じゃっき)行為」とは、簡単に言えば、広く知られた商品形態を真似て、市場における混同を誘発させる行為だ。iMacの独特のデザインが市場において広く認知されていることは間違いない。問題はe-oneとiMacを混同する消費者が存在するかどうかだ。

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