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第16話「きみが経理に抱く不満を知りたい」

2008年12月10日(水)

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前回までのあらすじ

 メーンバンクである関東ビジネス銀行に61億円もの債務を負うジェピーは、経理部長である団達也の指揮で再建の具体策を練っていた。残された時間は半年。経理課長の細谷真理は、経理部で日々の仕事に追われる一方、達也から会計と経営の本質を学んでいた。

 再建の柱の1つは、豊橋工場を閉鎖して長野工場に集約することだった。副工場長でロボット技術の“天才”でもある金子順平は、長野への転勤で得意分野に専念できると期待していた。

 だが、達也のような会計の専門家がジェピーの実権を握ったことには、金子は不満を持っていた。工場の現場を知らずに理屈ばかりを言って無理を押しつける経理部に対し、金子は「しょせん“ビーンカウンター”」という思いを抱いていた。

 金子は、経理部が幅を利かすような工場では納得のいく仕事ができないのではないかと危惧していた。そして、唯一信頼している上司、三沢充常務に率直に自分の思いをぶつけることにした。


 「団部長が僕を尊敬している? そんなこと言われても経理に対する不信感はぬぐえません。三沢常務も同じ思いではないでしょうか」

 三沢の前で自分の思いを吐露している金子は、今までの金子ではなかった。この男は、間違いなく、自分の人生の選択を決断しようとしていると三沢は感じた。

 「金子君。明日にでも本社に行って、団君と話してみたらどうだろう。とことん話し合ってからきみ自身の今後のことを決めればいい。私はきみにジェピーの将来を担ってもらいたいと思っている。だからといって、きみの将来を拘束するつもりはない。きみの人生を決める責任は、きみ自身にある」

 金子は黙って三沢の言葉に耳を傾けた。しばらくして、やっと口を開いた。

 「生産技術のエンジニアは僕の天職だと思っています。先週も、大学の恩師から研究室に来ないかって誘いの電話がありました。この工場が閉鎖されることを教授はどこかで知ったからでしょう。

 でも、僕は、この会社で三沢常務と仕事をすることが一番のキャリアになると信じています。世界最先端の研究ができる環境は、大学にも、ほかの会社にもあるとは思えません。それでもやはり、正当に評価されない仕事はしたくないのです」

 「よく分かるよ」と、三沢が相槌を打った。
 「前言を撤回するなんて、許されないことだと分かっています。長野工場に行くかどうかは、明日、団部長と話し合った後に、もう一度考えさせていただけないでしょうか…」

 「よく分かった」
 三沢は金子の肩に手を回し、なぐさめるようにやさしく叩いた。

本社役員室

 金子が丸の内の本社を訪れるのは初めてだった。噂には聞いていたが、想像以上に立派なビルだ。受付に到着すると、固定電話で経理部の短縮ダイヤルを押した。ほどなく、若い女性が現れて金子に挨拶した。

 「金子さん、細谷です」
 「細谷さんって、経理課長の細谷さんですか…」
 電話では何度か話をしたことがあるが、面識はなかった。真理は、金子を達也が待つ専務室に案内した。

 「この部屋に毎月150万円も支払っているんです」
 すでに部屋で待っていた三沢と、初めて会う金子に向かって、達也は立ったままいきなり家賃の話を始めた。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第16話「きみが経理に抱く不満を知りたい」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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