「日経ビジネスマネジメント VOL4」

カリスマだけでは100年企業になれない

人から始めるブランド育成――高田 明(ジャパネットたかた 社長)

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2008年12月15日(月)

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テレビ通販に登場する社長の個性が人気になり、会社は急成長した。
しかしトップのカリスマに依存していては、企業の存続は危うい。
そんな危機感から高田明社長は企業ブランドの構築を急ぐ。
ブランド力向上のためには、一人ひとりの社員の質を高めるしかない。
「感動を売る」というクレド(理念)も策定し、魂とノウハウを叩き込む。

高田 明(ジャパネットたかた 社長)

高田 明(ジャパネットたかた 社長)
1948年、長崎県平戸市生まれ。大阪経済大学経済学部卒業後、機械メーカー、実家のカメラ店の手伝いを経て、86年に家電販売店「たかた」を設立。90年に地元ラジオ局で通販番組を開始し、テレビ通販にも進出した。99年、「ジャパネットたかた」に社名を変更。商品紹介の際の独特の口調と情熱的な説明が人気になり、全国的に知られるようになる。

(写真:矢野 豊、以下同じ)

 独特の甲高い声で熱心に商品を説明する高田明社長の知名度を武器に、テレビ通販で成長してきたジャパネットたかた。しかし長崎県の本社で取材に応じたカリスマ社長は、低く落ち着いた声で、個人のブランドに依存することに対する危機感を語り始めた。

 私個人の人気に頼っていては、会社を存続させていくことはできない。そう強く感じていることが、ジャパネットたかたが企業ブランドを強化する一番の理由です。

 「うるさいなあ。いい加減に声を張り上げないでくれよ」と思っている人もいるかもしれませんが、「よく分かるよ」と言ってくださる人がいる。私はただのおじさんですが、テレビ通販で知名度は高まり、それが当社の成長を支えてきました。

 しかしそれだけでは長続きしない。私が今、一番目指しているのは、会社の継続です。ジャパネットを100年以上続くブランドにしたい。

 「パナソニック(旧松下電器産業)の今の社長は誰ですか」と、一般の人に聞いても、大坪文雄氏と答えられる人はあまりいないはずです。創業者が健在だった頃は、松下幸之助氏の名前は誰でも知っていました。ソニーの盛田昭夫氏や米ゼネラル・エレクトリック(GE)のトーマス・エジソン氏も同じです。それでも今は企業がブランドになっているので、社長が誰であっても問題ない。

 100年後に会社が存続するためには、個人ではなく、企業のブランドを揺るぎないものにする必要がある。ソニーやGEはそうなっています。残念ながらジャパネットは全くその域に達していない。30歳の社員がトップになっても問題ない強い土台が必要です。

 通販会社は星の数ほどあります。その中から当社を選んでもらわなければならない。そのカギを握るのが「企業ブランド」なのです。

感動を伝える力を最重視

 ジャパネットとは、どんなブランドであるべきなのか。当社は何のために存在し、何を目指していくのか。それを考え抜いて3年前に「クレド(企業理念)」を作りました。

 一番大事なのは「感動を伝える」こと。人間は喜怒哀楽があり、感動する生き物です。いろいろなことを感じながら人生を全うする。

 だから私たちは、ある商品を手にすることで得られる感動を、お客様に届けなければならない。この商品があれば、生活がどのように変わるのかを、具体的にイメージできるように工夫しています。

 感動や喜びをお客様が共有すれば、自然に商品を買ってもらえます。共感を与えるメッセージは、私だけでなく全社員が一緒に発信する。私がいなくなっても、社員みんなが感動を伝えられる会社が目標です。

 クレドを作った背景には、2004年にジャパネットの顧客情報が外部に流出した問題がある。約51万人分のリストが漏洩し、持ち出したのは元社員だった。約1カ月半にわたって販売を自粛せざるを得なくなり、会社存亡の危機に瀕した。だからこそ企業ブランドを強化し、トップなしでも会社が存続できるように、社員の質を高めることに力を注ぐ。

日経ビジネスマネジメントVol.4
ブランド経営の威力

「日経ビジネス」がお届けする経営課題を解決するためのベストプラクティスシリーズ第4弾!
未曽有の経済危機を前に、企業は何を拠り所に、当面の打開策、そして将来の成長戦略を描けばよいのか。
ここに「ブランド」が改めて注目される理由がある。座標軸としての「ブランド」の活かし方とは?
No.1経済・経営誌の「日経ビジネス」がお届けする経営者・管理職向けの実践的ソリューションをまとめた1冊。

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経営課題を一つずつ取り上げ、課題の検証、論点の整理から実践的な解決策の提示まで徹底追求します。

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