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使命感なくして「大勝負」はできず

技術者の矜持――西岡 喬(三菱重工業 相談役)

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2008年12月17日(水)

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「栄光のスリーダイヤ」というブランドを背負う三菱重工業。
幅広い技術・製品群から「機械のデパート」とも言われるが、
そこには「国家・社会のため」という使命感、座標軸が存在する。
技術立国・日本を実現するための、技術ブランド経営論。
「技術に成熟なし」と、強烈な自負心で言い切る西岡氏が、
リスクの大きい小型旅客機「MRJ」で大勝負に打って出た。

西岡 喬

西岡 喬(三菱重工業 相談役)
1936年東京都生まれ。59年東京大学工学部航空学科卒業、三菱重工業入社。航空宇宙部門の名古屋航空宇宙システム製作所長などを経て99年に社長。2003年会長、2008年4月から相談役に。同年4月からは子会社の三菱航空機会長。また、2005年からは経営危機に陥った三菱自動車の会長職も兼務する。

(写真:清水 盟貴、以下同じ)

 当たり前のことですが、日本は技術立国で生きていかなければならない。そのために、三菱重工業という会社は国家に対して、大きな責任を持っているのです。

 三菱重工はよく「機械のデパート」なんて言われますが、単に数多くの技術や製品を持っている「デパート」ではありません。国や社会が必要とする製品だけを作っている。国を含め、顧客から「必要ない」と言われたものは撤退していいでしょう。逆に「必要だ」と言われれば、飽くなき修練を重ね、大きなリスクを取ってでも挑戦する会社です。

 2008年春に事業化を決めた小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナル・ジェット)」はまさにその例です。私は入社以来、航空機をやってきました。今も、MRJの事業会社である三菱航空機の会長を務めています。航空機はリスクの極めて大きい事業ですが、MRJは絶対に成功させなければならない。

 私は毎週のように、三菱航空機の技術者たちに、こんな話をしています。「MRJは決して国や会社の押しつけではないぞ。これが失敗すれば三菱重工にとって致命傷にもなりかねない。開発が始まっても、誰も成功を確信しているわけではなく、採算分岐点に達するまでは茨の道だ。それでも、三菱重工は戦闘機やミサイルやロケットでは世界一にはなれないけど、MRJで世界一になれるチャンスがある」とね。

 私は小型ビジネスジェット「MU-300」については現場の技術者として30年前の事業立ち上げから撤退までを担当しました。これは1機3億円だったけど、1800億円もの赤字を出しました。悔しかったが、撤退せざるを得なかった。当時からの友人に最近も、こう言われました。「日本の航空機事業をだめにしたのは三菱重工だ。ジェット機の失敗で、日本では航空機はもうだめだという思いが広がったんだぞ」と。

航空機こそ技術立国の基盤

 MRJの販売予定価格は1機30億円ですから、単純計算すれば、1兆8000億円の赤字になりかねない。もちろん、最悪の場合でも2000億~3000億円ぐらいの赤字で止めますがね。航空機というのはそれぐらいの損失が出かねない事業です。

 MRJには開発費が1500億円かかります。1機も売れないうちから、1500億円も必要なのです。自動車も開発費がかかりますが、シェアが高いからといって、トヨタ自動車さんのクルマを全員が買うわけではないですよね。三菱自動車を買う人もいます。ですから、クルマの場合は悪くても、最初の計画の70~80%ぐらいは売れる。しかし、航空機は全く売れないという恐れがある。三菱重工は新規参入組ですから、その厳しさはなおさらです。

 だから、私は航空機の技術者たちにハッパをかけています。ぼろくそだから、みんな「こんちくしょう」と思っているでしょう。でも、本当に日々、真剣にやってもらわないと、三菱重工だって倒れかねない。世界一になろうとすれば、40年ぐらいかかるかもしれません。ただ、航空機を飛ばす感動をうちの若い技術者にも味わってほしい。

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