
米ビジネスウィーク誌が毎年発表する「ベスト・グローバル・ブランド」ランキング。8回目となる今回の調査では、不況でもブランド投資の手を緩めないことが最強ブランドの構築につながることが判明した。
景気が悪くなるたび、経営陣はブランド構築コストを見直そうと言い出す。マーケティング予算の削減は一見、賢明に思える。削減しても品質に影響が及ぶわけでも、翌週の売り上げに響くわけでもない。実際、最近の景気悪化でコカ・コーラやVISAなど多くの優良企業がマーケティング予算の削減を発表した。米自動車メーカーや銀行は既に削減を実施している。
一方、時間をかけて構築してきたブランド戦略を不景気だからと後退させたくないと考える企業もある。不況は、弱ったライバルに一歩先んじる絶好の機会になったりもする。低価格を売り物にする競合相手をかわすべくブランド価値を高めたい、あるいは、強力な新商品を抱えているが、まだマーケティング上の支援が必要だったりと、その理由は様々だ。
2008年の本誌(BusinessWeek)「ベスト・グローバル・ブランド100」に登場するアメリカン・エキスプレス(15位)など一部の企業は売上高の一定割合を米国市場向けのマーケティング費用として確保している。
ルイ・ヴィトン(16位)、ケロッグ(39位)、アクセンチュア(47位)、クリネックス(74位)などは売上高に対するマーケティング費用の割合を大幅に増やしている。
これまで8年間、毎年、本誌とブランドのランキングを手がけてきたブランドコンサルティング会社インターブランドのCEO(最高経営責任者)、ジェズ・フランプトン氏は「(マーケティング費用は)常にコスト削減の対象だ」と話すが、同氏は不況の時こそ支出を増やすべきだとクライアントには助言している。消費者は、「苦労して稼いだお金を使うという意識が強くなっているだけに、支払いに対する期待も高くなっているからだ」とその理由を説明する。
過去を見ても、不況はブランド強化のために投資する絶好の機会と言える。過去60年間、成功を収めたブランドの販促活動には、不景気時に始めたものが少なくない。広告専門誌「アドバタイジング・エイジ」が発表した「20世紀の広告宣伝キャンペーン上位100」を見ると、戦後展開された販促活動の約4分の1が不況の時に始まっている。中でも大成功を収めたものは、石油ショックで消費が冷え込み、ガソリンや日用品の価格が跳ね上がった1974年と1975年に始まった。
例えば独自動車メーカーのBMW。同社は1974年、最近まで使われていた宣伝コピー「The Ultimate Driving Machine(究極のドライビングマシン)」を冠した販促活動を立ち上げ、ニッチなスポーツセダンメーカーではなく、ロードスターからSUVまで卓越した技術を有する高級車のトップメーカーというイメージを米国の消費者に浸透させた。
このキャッチコピーを生み出した広告マン、マーティン・ピュリス氏は「不況は好きだ」と言う。「好景気の時には新しいものに手を出さない消費者も、不況の時には現状を打破しようとするからだ」。
だが、不景気の中、ブランド構築のような効果を測りにくい分野への投資を実現するのは難しい。企業トップをしっかり説得できる最高マーケティング責任者(CMO)の存在が必要だ。多くのCEOは売上高の一部をマーケティング費用に割り当てているが、景気低迷期には売り上げは落ちるし、どん欲な投資家はすぐに売り上げに結びつくような販促活動やクーポンキャンペーンなどに予算を使わせたがるからだ。
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