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第17話「お願い。間中さんの力になって」

2008年12月17日(水)

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前回までのあらすじ

 経理部長の団達也と課長の細谷真理は、ジェピーの再建計画を練っていた。

 閉鎖される豊橋工場から長野工場に移ることが決まっていたロボット技術の“天才”金子順平は、達也のように工場の現場を知らない会計の専門家がジェピーの実権を握ったことに不満を持っていた。

 金子は自分の思いを直接達也に伝えるため、ジェピー本社にやってきた。初めは懐疑的な気持ちで達也と対峙していた金子だったが、達也が語る管理会計の本質についての話を聞くうちに心を開いていった。

 達也が言ったのは、会計ルールとはビジネスの参加者同士の合意(コンベンション)だということだった。「合意、つまりコンベンションである以上、不合理なルールを片方の都合で押しつけてはいけない」――。この達也の言葉を聞いた金子は、製品原価の計算方法について、日頃工場で考えていたことを話し始めた。


本社役員室

 「経理担当者は技術者ではないのに、なぜ製品原価を正確に計算できると思い込んでいるのでしょうか。僕には想像もつきません」
 金子は堰を切ったように話し始めた。

 「だってそうでしょう。マイクロスイッチを作るっていうのは、結構大変なんですよ。僕たちは、何カ月もかけてロボットの設計をして、部品から作るんです。何度も何度も試作して細かな調整をするのですが、不良率が5%未満にならない限り量産の許可が下りません。三沢常務に言わせると、不良率が2%未満になって初めて品質が安定したと言えるそうです。やっと2%を切って量産に入ると、今度はタクトタイムをもっと短くするように指示が出る」

 真理が口をはさんだ。
 「すみません、タクトタイムって何でしょうか?」

 「部品1個をどれだけの時間で生産すべきか、という時間値のことです。1日当たりのロボットの稼働時間を1日当たりの完成数で割った時間です。ジェピーでは、1台のロボットで何種類もの製品を作れますから、製品ごとに稼働時間を完成数で割って計算しています」
 「ロボットの生産スピードを上げればタクトタイムは短くなるということですか?」

 「それだけで済むことではありません」
  金子がむっとして答えた。
 「課長は管弦楽はお好きですか。指揮者がタクトを振るのは、演奏者の拍子取りをするためですよね。スイッチはいろんな工程を経て出来上がるのですが、それぞれの工程の作業時間がバラバラだと、次の作業に進めずに仕掛品が渋滞を起こしてしまいます。だから、それぞれの工程の作業時間を合わせるんですよ。ロボットへの部品の補給も、運搬も、検査も、ロボットのスピードに合わせて、すべての時間を均等にしなくてはなりません」

 確かにその通りだと、真理は思った。
 「それだけではありません。タクトタイムを速めても、ロボットを止めてしまったら何にもならないんです」

 「どういう意味ですか」
  真理はよく理解できなかった。

 「ある製品の生産が終わって別の製品を作る時、ロボットを止めて次の準備をします。これを段取りって言います。そうすると次の製品のタクトタイムは遅くなる」
 「なぜですか」
 真理は首を傾げた。

 「段取りであろうと、稼働であろうと、その間、仕掛品はロボットを占有するんです。占有している以上、稼働時間に含まれることになる。つまり、その仕掛品には原価がかかるんです」
 「すみません…、もう少し説明していただけますか…?」

 金子の言葉のすべてを納得いくまで理解したいと思っていた真理は、臆することなく質問した。すると、それまで金子の顔を凝視するようにして話に聞き入っていた達也が口を開いた。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第17話「お願い。間中さんの力になって」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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