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Day 3:なぜ今、時価会計は「緩和」なのか

金融機関がかかえる重し

  • 杉田 庸子

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2009年1月7日(水)

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 サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)が話題になり始めた2007年当時、日本の金融機関は「安泰」という意見が多数を占めていた。しかし、「サブプライム問題」が「金融恐慌」と名を変え、実業界にも影響を与え始めて以降、日本の金融機関でも問題が表面化した。

 2008年9月中間期には、取引先企業の業績不振で不良債権処理費用が増加したこと、株価下落で保有株式などの評価損が拡大したことが響き、主要行の最終利益合計は前年同期から約6割減の4000億円程度となった。

 これら金融機関の損失拡大を防ぐ目的で「時価会計凍結」が議論されはじめたことをご存じの方は多いと思う。実際、2008年9月の第2四半期決算で、時価会計は実質「一部緩和」された。

 しかし、時価会計は実際には世界のどこでも「凍結」されていないこと、それでも日本の金融機関が「時価会計を凍結してほしい」と主張し続けた背景を説明したい。これは、複雑なテーマを含むので2日分を割きたい。Day3は基礎編として時価会計の基本知識を固め、Day4は応用編として現在話題になっている時価会計の問題を分析してみよう。

時価で評価される有価証券と、されない有価証券

 日本の会計基準は「時価会計」を採用しており、有価証券は「時価」で評価されている、という認識は正しいが、もうすこし正確に言うと、有価証券の保有目的によって評価基準は違う。以下の表を参照してほしい。

■ 有価証券の評価の仕方

保有目的 定義 評価基準 評価差額の処理
売買目的有価証券 短期間の価格変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券をいい、いわゆるトレーディング目的の有価証券を指す 時価基準 当期損益として処理
満期保有目的の債券 満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券 償却原価法に基づく原価基準 発生しない
子会社株式・関連会社株式 子会社・関連会社に該当する会社の株式 原価基準 発生しない
その他有価証券 上記以外の有価証券 時価基準 原則:評価差額の合計額を純資産の部に計上する全部純資産直入法

 売買目的有価証券とその他有価証券に関しては、評価を「時価基準」で行うという原則がある。「売買目的有価証券」を保有するのには、有価証券の売買を業としており、独立の専門部署によって売買目的有価証券が保管・運用されているか、有価証券の売買を頻繁に繰り返している場合のみである。

 ゆえに、売買目的有価証券を保有するのは主に金融機関。一般の事業会社であれば、通常、保有するのは「その他有価証券」か「子会社株式・関連会社株式」、それに加え「満期保有目的」の債券を多少持っていることもある、というのが普通だろう。

 保有目的については、売買目的やその他目的から満期保有目的への変更はできないことになっていた(これは、Day4で改めて説明させていただく)。

 それでは、時価とは何か。時価とは、公正な評価額をいい、市場において形成されている取引価格、気配又は指標その他の相場(以下「市場価格」という)に基づく価額をいう。市場価格がない場合には合理的に算定された価額を公正な評価額とする、とされている。

 有価証券の評価については「市場価格のあるもの」と「市場価格のないもの」に分けて考えるとよい。

 市場価格のある有価証券は、上場株式や市場で取引されている債券などが該当し、市場価格(取引所の取引価格)=時価で評価される。

 市場価格のない有価証券は、未公開株式や、市場での取引のない債券などをさす。債券に関して市場価格がない場合には、比準価格や理論価格方式によって価格を算定するか、あるいはそれらの方法により算定された価格をブローカーまたは情報ベンダーから入手することになっている。

 市場価格がなく客観的な時価を把握することができない有価証券(未公開株式のような市場価格のない株式が該当する)については、取得原価又は償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とする。これら取得原価で評価される有価証券も、著しい価値の下落が発生した場合は減損処理を行う(下記で再度解説する)。

 時価評価を行っている、といっても、すべての有価証券の時価の変動が損益計算書に影響を与えているわけではない。上記の表を見ればわかるとおり、毎期の時価の変動が直接損益にインパクトがあるのは、通常の場合、売買目的有価証券だけだ。その他有価証券の時価の変動は、貸借対照表上、資本の部の加減算項目として取り扱われる。

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