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Day2:キャッシュフロー頭をつくる

セブン&アイ・ホールディングスはなぜ、優良企業なのか

  • 杉田 庸子

バックナンバー

2009年1月6日(火)

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 「キャッシュフロー経営が大事」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないか。キャッシュフローを直訳すると「資金繰り」だ。

 Day 1では「黒字なのに資金繰りに行き詰まって破たんすることがある」という事例を紹介し、
 高レバレッジ
 営業キャッシュフローのマイナスが続く会社は危ない
 
 ということを学んだ。

 その反対にあるものがいわゆるキャッシュフロー経営だ。借金依存の経営体質から脱却し企業として自立すること、それによって景気変動・金融の収縮に左右されにくい体質になる、というビジネスモデルだ。

 右肩上がりの経済成長を続けていた間であれば、資産の価値が何もせずとも上がっていき、それを担保に銀行借り入れもできたし、会社が厳しくなれば資産を手放して含み益を実現させ、経営を続けることができた。しかしそのような時代は、バブル崩壊と同時に1990年初頭には終わっている。

 キャッシュフローを管理する計算書類であるキャッシュフロー計算書は、日本では欧米に遅れること10年以上、2000年3月期から作成が義務づけられた。当時不況真っただ中だった日本がまさに必要としていた計算書類だったわけだが、再び大きく景気が下振れした2008年、キャッシュフロー経営とキャッシュフロー計算書の「読み方」に立ち返ってみよう。

運転資金の計算方法

 ここでDay1の「宿題」を見てほしい。少々フライングになるが、宿題の一部の答えをここで公開してしまうと、C社はセブン&アイ・ホールディングス。流通の覇者、セブンイレブンやイトーヨーカ堂の持ち株会社である。

■4社の運転資金の動向

    A社 B社 セブン&アイ・
ホールディングス
D社
棚卸し資産 売上原価 2,882,477 3,925,309 1,929,298 690,137
棚卸し資産 1,365,392 1,246,565 167,242 57,185
回転日数 86 58 16 15
売上債権 売上高 4,051,349 4,869,325 2,581,485 1,328,998
売上債権 1,134,091 679,479 139,159 806,280
回転日数 51 25 10 110
買入債務 売上原価 2,882,477 3,925,309 1,929,298 690,137
買掛債権 1,228,377 1,120,064 368,787 151,776
回転日数 78 52 35 40
運転資金   60 31 -9 85

売上原価、棚卸し資産、売上債権、買入債務の単位は百万円
回転日数は日で四捨五入している
なお、売上高・売上原価については半期の数値を用いているため、回転日数の計算においては182日で計算をおこなっている(次ページで詳述)。

 この会社が他の3社、いずれも日本を代表する優良企業の中で違うのは、運転資金がごくわずかな額で済むビジネスモデルになっていることだ。運転資金とは、「原材料を仕入れてから製造を行い、販売を通じて実際に現金を手に入れるまでの時間的な差を埋めるための資金」である。

 通常、事業を行う場合は、費用の支払いが先行し、代金の回収が後になる。その間に必要なお金が、「運転資金」だ。クルマが走るためにはガソリンが必要。費用の支払いは、ガソリンの消費に当たり、代金の回収はガソリンの補給に当たる。ガソリンを消費するばかりで補給されないと、クルマはエンストしてしまう。企業も代金=キャッシュがなければ、倒産してしまう。運転資金は、企業が文字通り、運転=操業し続けるためのキャッシュだ。

 キャッシュフロー経営を理解するためには、まずこの運転資金を巡る動きをしっかり頭に入れておかなくてはならない。運転資金に関するキャッシュの出入りを見てみよう。

 1 原材料を仕入れる。通常、仕入れの支払期日は原材料を納入した当日ではなく、後日になる。これを財務諸表で表すと、貸借対照表の右側の負債の部にある買掛金の項目のプラスになる。買掛金として残っている間は、支払いを猶予されていることになり、その時点で必要な現金は少なくて済む。

 2 仕入れた原材料を使って製造する。その間、販売に至るまで、その原材料は完成途上の半製品や完成しても納入待ちの状態になっている。この状態の時、財務諸表では貸借対照表の左側にある棚卸し資産として計上される。これは「お金=キャッシュはかけたものの、まだ投下資本=キャッシュが回収されていない」という状態だ。

 3 ようやく棚卸し資産に計上されていた製品が顧客に納入される。この時点ですぐに現金が入ってくれば一番良いが、多くのケースでは、製品を納入しても、すぐに現金を回収できない。買掛金のところで説明したように、購入する時も販売する時も、掛けで決済するのが日本では一般的だ。原材料の購入の際に買掛金を計上したように、製品を販売して実際に現金が入って来るまでの間も、貸借対照表に計上することになる。この場合は、棚卸し資産と同じ貸借対照表の左側に売掛金として記載する。

 4 売掛金を回収する。この時点でやっと、仕入れた原材料が売り上げ代金として会社に入ってきた状態となる。

コメント1件コメント/レビュー

私の頭では全てを理解するのは難しいですが、それでもなるほどと声が漏れてしまうくらいイメージが浮かんでくるような説明でした。もっと深く会計を勉強したくなりました。キャンプに参加して本当に良かったです。(2009/01/06)

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私の頭では全てを理解するのは難しいですが、それでもなるほどと声が漏れてしまうくらいイメージが浮かんでくるような説明でした。もっと深く会計を勉強したくなりました。キャンプに参加して本当に良かったです。(2009/01/06)

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