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Day4:日本独特の「サブプライムの余波」

  • 杉田 庸子

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2009年1月8日(木)

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 2008年10月下旬、当時まだ西海岸在住だった筆者は、ニュースで麻生太郎首相が時価会計緩和策についてコメントを読んで不安を感じた。

 麻生首相はこう述べていた。

 「これはもともと、株を満期まで持っている人にとっては、時価会計は手続きが大変になるだけで、おおよそあまり意味がない。(中略)時価会計に、どうしてもしなきゃいけないという米国の意見に『そーかねー』と言い続けてきた。その米国がやめるという話をしているんだから、日本も時価会計にこだわる必要あるのかねー。『検討してみたら』とは言いました」

 隊長が麻生首相に突っ込むことが可能だったとしたら2点ある。

 まず、株には、「満期はありません!」。

 満期という表現を、持ち合い株の意味で述べていたとしたら、確かに持ち合い株は、債券のように長期に保有される可能性が高い。しかし、持ち合いはあくまでも“紳士協定”で、いざとなれば解消される宿命にある。いずれにせよ、永久に保有されることはない。

 そして、何度も言うように、米国も世界のどこの国も株式の時価会計はやめていないのですが。

 こうした誤解のせいだけではないと思うが、麻生首相の「検討してみたら」で出てきたのは、金融危機による株価急落で打撃を受けているとされる国内金融機関の決算保護策だった。

変動利付国債の時価評価

 日本独特の時価評価緩和策の1つが、15年変動利付国債を「理論値評価」の対象としたことだ。変動利付国債は、利率が半年ごとにその時々の10年債の利回りに連動して決まる。通常の国債よりは流動性が劣るとはいえ、流通市場が整備されている。緩和策では、「市場価格のある有価証券」にもかかわらず、理論値で評価してよいとした(参考「時価会計、日本でも勢いを増す凍結論議」)。

 この緩和策の内容は、日本の会計基準の設定主体、企業会計基準委員会(ASBJ)が2008年10月28日に公表した実務対応報告「金融資産の時価の算定に関する実務上の取扱い」に紹介されている。

 それによると、理論値の評価が可能な金融商品は「取引所若しくは店頭において取引されているが実際の売買事例が極めて少ない金融資産」としているほか「売手と買手の希望する価格差が著しく大きい金融資産」とされている。ロイターの報道によると、ASBJの関係者は「どの金融商品に理論値を採用するかどうかは実務の問題だが、変動利付国債についても流動性がないなら対象になる」と答えたとのこと。そこで、日本の金融機関は、横並びに理論値の採用に踏みきった。

 三菱UFJフィナンシャル・グループの四半期報告書を見ると、理論値で計算することで、市場価格に基づく価額による評価と比較して、評価額が1222億3500万円増加した、とのことである。評価方針をちょっといじるだけで帳簿価格が1000億円もかさ上げできること事態が恐ろしい。これが評価緩和の危うさ、ということもできる。

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