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【日本を救う小さなトップランナー】
河野製作所(医療用器具の製造)

0.03mmの針で手術革命

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2008年12月25日(木)

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 世界に通じるモノ作り。本誌はこれまで高い技術と生産能力を持つ日本企業を多く描いてきた。その対象はトヨタ自動車やソニーといった大企業に限らない。規模が小さく、知名度が低くても、産業界に欠かせない製品や部品を作る中小企業が全国に数多くある。

 このシリーズでは本誌の人気コラム「小さなトップランナー」から優れたモノ作りの現場を紹介した記事を連続で取り上げる。

* * *

2008年10月6日号より

世界最小の医療用針を開発して、難度が高い手術に進化をもたらす。
指先の血管縫いつけや皮膚移植などの成功に貢献する。
医師の依頼で取り組み、成功。極小針で国内60%のシェアを持つ。

(飯山 辰之介)

 誤って指先を切り落としてしまった患者が手術室にいる。治療に当たる外科医は、黒島永嗣・帝京大学医学部教授。黒島医師は顕微鏡を覗きながら、直径が0.2mmにも満たない細い血管の周囲を7針も縫い合わせていく。そして無事、成功。

 その手術はそれまでと違った。血管を縫う針がいつもより小さいのだ。これまで使っていた最小の針の直径は0.1mm。それが今回は0.03mmになった。

 その差はたった0.07mmしかない。だが黒島教授は言う。「この0.1mmにも満たない小さな違いが、微細な手術に大きな進歩をもたらしている。この針で救われる患者がたくさんいる」。

教授が依頼、3年で製品に

 極小の針を使った微細な手術は「マイクロサージャリー」と呼ばれる。顕微鏡を用いた特殊な手術だ。切断された指先の血管を縫い合わせる手術や、皮膚の移植手術などで活用される。こうした身体の小さな組織にメスを入れるなど、通常の手法では難しい治療ができる。

 この微細な手術に欠かせない極小の針を製造するのは河野製作所(千葉県市川市)だ。マイクロサージャリー用の針では国内60%のシェアを持つ。

 2004年には世界最小となる直径0.03mm、長さ0.8mmの糸付き針を開発した。このサイズで実用に堪える針を製造できるのは、現在のところ同社をおいてほかにない。

 医療の現場ではミスが許されない。手術用針に関しても、施術中に折れたり、針先が曲がったりしては大事故につながる。

 河野製作所の針は単に小さいだけではない。極細の血管でもしっかりと貫通するよう、針は丁寧に研磨されている。また施術中に折れたりしないように、針全体にコーティング加工が施されている。極小の針は肉眼では金属片にしか見えないが、小さくても手術用の針に求められる品質を保っている。

 「河野製作所の微細な外科用針の品質は世界でもトップクラス。切れ味も鋭い。使っていると丁寧に作り上げているのが手に取るように分かる」。黒島教授はこう評価する。

本社内にあるクリーンルームに立つ河野淳一社長。従業員が顕微鏡を覗きながら糸を針につないでいる

本社内にあるクリーンルームに立つ河野淳一社長。従業員が顕微鏡を覗きながら糸を針につないでいる(写真:的野 弘路)

 実は黒島教授こそ、この極小針を生み出すきっかけを作った人物だ。「もっと微細な手術ができるマイクロサージャリー用の針を作ってほしい」。黒島教授のこんな依頼を受けて、河野淳一社長は2001年から本格的に世界最小の糸付き針の開発を始めた。

 それまで顕微鏡を用いた微細な手術では、太さ0.5mm程度の血管を縫うのが限界だった。直径0.03mmの針を開発したことで、0.2mmの血管までつなぎ合わせることができるようになった。このわずかな差が、微細な手術では大きな違いとなる。

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