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「現地化」と「標準化移転」、どちらが正解か?

新興国でのブランド構築の道筋─―小川孔輔(法政大学経営大学院教授)

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2008年12月25日(木)

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 米国発の金融危機を引き金にして景気の後退が世界的に広がっている。だが、そうした中でも新興国市場を開拓する重要性は薄れてはいない。低価格を武器にする企業がひしめき合う新興国。そこで日本企業が抜きん出るには、ブランドの確立が欠かせない。「それには2つの選択肢がある」。ブランドマネジメントに詳しい法政大学経営大学院の小川教授はこう指摘する。

 ブランドマネジメントの今について考えると、最も重要なトピックの1つは、アジアを中心とする新興国で日本企業がどうブランドを確立するかでしょう。

 景気後退が世界的に広がり、新興国の市場拡大にもブレーキがかかっています。ですが、将来の経済成長の主な舞台が新興国であることは間違いない。新興国におけるブランド構築は、日本企業にとって喫緊の課題です。

 では、日本企業はどうすべきなのか。日本で人気を集めている海外ブランドとそうでないブランドとの違いを考えると、そのヒントが見えてきます。

コカ・コーラとビッグスリーの違い

小川 孔輔

小川 孔輔(おがわ・こうすけ)氏
1951年生まれ。74年東京大学経済学部卒業。76年東京大学大学院経済学研究科で経済学修士号を取得。米カリフォルニア大学バークレー校留学などを経て、86年法政大学経営学部教授。94年豪シドニー大学経営大学院客員教授。2004年から現職。主な著書に『ブランド・リレーションシップ』(法政大学産業情報センター)、『よくわかるブランド戦略』(日本実業出版社)、『ブランド戦略の実際』(日経文庫)など。

 米国のブランドを題材にしてみましょう。コカ・コーラやスターバックスなどが日本でも人気を集め続けている一方で、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの「ビッグスリー」(米自動車大手)をはじめ、日本で消費者の支持を得られなかった米国ブランドは枚挙にいとまがありません。

 こうした違いが生じたのはなぜでしょうか。実はコカ・コーラやスターバックスなどの成功例には共通点があります。米国におけるビジネスモデルをそのまま持ち込んだ点です。

 コカ・コーラは、コーラやファンタ、スプライトといった商品はもとより、広告宣伝などの販促手法も米国のものを日本に“輸出”しています。

 スターバックスも、品揃えや店舗の作りは基本的に米国のものを踏襲している。このように母国のモデルをそのまま海外に展開するケースを、「標準化移転」と私は呼んでいます。

 標準化移転が成立するには、いくつかの条件があります。まずは、母国の文化を背景に持つことです。米国外のコカ・コーラのファンには、米国の文化やライフスタイルなどに対する強い憧れがある。そうした消費者の心理に訴求するため、米国流を前面に押し出しているわけです。

 もっとも、母国の文化を背負っているだけでは十分ではありません。それに加えて、競争相手がなかなか模倣できない独自性が求められます。

 例えばコカ・コーラの場合、コーラという炭酸飲料の“オリジナル”として揺るぎない地位を確立しています。

 スターバックスも、エスプレッソやカフェラテなどのイタリア流のコーヒーを提供することに加えて、顧客が自宅や職場の次に時間を過ごす「サードプレイス」としての店舗作りを推進してきました。

 従来のコーヒーチェーンとは異なるこうした独自性が、日本の消費者の目に新鮮に映った。だからこそ、急速に店舗の数を増やすことができたのです。

 国内のコーヒーチェーンの中には、スターバックスによく似た店舗を展開しているところもありますが、消費者の支持を得ているとは言い難い。スターバックスのような“本物”とは見られていないからです。

 真似のしにくい独自性があるから、強力なライバルが存在しない──。GMなどのビッグスリーは、コカ・コーラやスターバックスと同様に米国の文化を背景に持ちながら、こうした状況を作り出すことができませんでした。

 製品やビジネスモデルに独自性がないうえ、日本の輸入車市場には独メルセデス・ベンツなどの欧州メーカーが、より強靭なライバルとして立ちはだかったからです。

困難な「標準化移転」よりも「現地化」

 標準化移転は母国でのやり方をそのまま持ち込めるので、長年培ってきた強みを生かせるという利点があります。ですが、それが成立する条件を揃えるのは簡単ではありません。ですから、別の方法によってブランドを作り上げるケースが圧倒的に多い。

日経ビジネスマネジメントVol.4
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