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Day 6: 不況をチャンスに変える内部統制

間近に迫った報告の義務化

  • 杉田 庸子

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2009年1月14日(水)

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 Day 5では売り上げと費用に対する理解を深めることは、循環取引など不正な会計処理に巻き込まれることを防ぎ、また自社の収益力や効率性を正しく把握できるようになることで適切な経営や事業戦略を構築できるようになることについて学んだ。

 経営者そして社員一人ひとりが会計処理に対する意識が高ければ、不正な会計処理は生まれない。しかし、米エンロンの破綻の背景にあるように、行き過ぎた収益至上主義が社内にはびこると、適切な会計処理が行われず、経営者の逮捕や会社の破綻まで追い込んでしまう。米国に限らず、日本でもカネボウや西武鉄道などが不正な会計処理を行い破綻や上場廃止に追い込まれている。

 こうした状況を放置すれば、投資家の不信を招き、健全な資本市場が育たなくなるとして、米国では2004年から、日本では2009年3月期決算から主に上場企業に対して財務報告を適切に行わせるため、内部統制報告を義務化した。

 SOX法や日本版SOX法など、日本でも数年前から騒がれていたから隊員の皆さんも、耳にたこができるくらい内部統制やSOXという言葉を聞いただろう。

不景気は好機

 未曾有の不景気の中で日本が内部統制報告を始めるのは、ある意味で幸運なことかもしれない。内部統制を報告するうえでは、会社のあらゆる業務フローを洗い、どこにリスクがあるか点検することが必要になる。この不況に対応するため、業務を点検し、重要なポイントに適切に資源を配分するという作業と、大きく重なる部分もあるはずだ。

 あらゆる業務フローということは、内部統制報告の義務化は経理や監査にかかわる部門にとどまらず、言ってみれば会社の全部門の人に関係するのだ。その過程では、業務の流れを文書化したり、それまで不要だった承認を受けたりする手続きなどが出てきたりする可能性がある。

 こうした作業は何も適正な財務報告をするために限らず、効率的で安全性を高める業務運営をするためにも役立つので、普段から適宜行っているべきものだ。それが内部統制報告の制度化で、ある意味で強制的に実施させられることは、会社の収益力を高めるうえでも、大きなチャンスになりうる。実際、米国では内部統制報告実務の導入を、会社の業務効率の整備に利用した企業もある。そのことは、以前の連載「それでも必要な内部統制」で紹介している。

 しかし、仮に今、リーマン・ショックもなく景気は順調で、収益が伸びている時期ならば、「なぜ会社がうまくいっている時に、面倒な点検作業をしなくてならないのか」と思うだろう。だから、制度化でも、自分たちが生き残るために必死になって業務を見つめ直さなくてならない今のこうした時期に日本企業が内部統制報告が始まるのは好機と言えるのだ。

トップダウンの本当の意味

 日本の内部統制報告制度は、米国で2002年に制度化された企業改革法(SOX:サーベンス・オクスレ)法がベースになっている。しかし、本家のSOX法と日本版SOX法は、大きく違うものがある。

 よく言われるのが、米国版SOX法はボトムアップのアプローチを用いており、日本版がトップダウンのアプローチ、ということだ。金融庁が作成した「内部統制報告制度に関する11の誤解」でも冒頭に書かれている。

 確かに、米国では導入最初の3年間のSOX法対応には混乱が多く、結果的に、それぞれの部署が

 「業務フローチャート」
 「業務記述書」
 「リスクコントロールマトリックス(RCM)」

 といった、いわゆる内部統制を把握するのに必要な文書化3点セットを積み上げる、という形になったことは否めない。しかし、米国ではこうした文書化が大きな負担になるとして2006年には監査基準書5号が発効し、「トップダウンのアプローチを行うこと」が強調された。

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