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「忍」の経営を50年貫く

食品トレーのシェアトップ企業エフピコ

  • 曲沼 美恵

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2009年2月27日(金)

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家族で夜なべしてトレーを作り、
さまざまな困難を耐え、
トレーを単なる「容器」から、
「食品を演出する道具」に変え、
売上高1300億円の企業を作った。

 

小松安弘
YASUHIRO KOMATSU

1937年岡山県井原市生まれ。60年日本大学経済学部を卒業後、東京トヨタヂーゼル入社。62年福山パール紙工を設立し、社長に就任。89年に社名をエフピコに変更し、現在に至る。座右の銘は「忍」と書いて「がまん」と読む

食品トレー製造最大手、エフピコ社長の小松安弘(71歳)は毎日、出社するとすぐに、全国の営業所の幹部社員ら約20人に対して、次々と電話をかける。
「売り上げ落ちとんのは、現場に足を運んでいないからやないか」
「何なら、わしが手伝うたるぞ」

 電話口でまくしたてる小松の手元には、前日の夕方に集計された受注データが届いている。小松はデータのわずかな変化を見逃さず、「価格はどうなっているか」「ライバル企業の動きはどうか」など、気になる点を営業所の状況に合わせて丁寧に聞き出し、指示を出す。相手の話す内容や声色で、日々の状況が分かる、という。

 話す時間は、毎日一人あたり1分から2分くらい。長くても5分程度にすぎない。短い時間だが、「毎日やりとりするからこそ、変化が分かる。だから毎日続けることが重要だ」。小松はこう言う。 

 営業ばかりではなく、小松は製品開発にも細心のこだわりを見せる。トレーのアイテム数は約6000~7000点あり、季節などに合わせて新製品を出す。このため、社長室の机上には常に、開発されたばかりの新商品が並ぶ。

 小松はそれを1点ずつ手にとって、さまざまな角度から出来具合をチェックする。掲げるようにして見た目を確認する。指で持った時の感触を確かめる。さらに、トレーを少し折り曲げるようにして強度を確かめたりもする。改良すべき点に気づくと、小松は担当社員を呼んですぐに伝える。
「アイテム数は多いが、1点1点が勝負です。サイズはどうか、色はどうか、厚みや強度はどうかなど、どれも考えに考え抜いて作っている」と、小松は胸を張る。


09年春夏向け新製品の検討会に全国から約50人の幹部社員が集まる

 例えば、生春巻き用のトレーの場合、内部の仕切りにわずかな傾斜をつけることで、盛り付けた生春巻きの断面が見えるようにして、具のバラエティを伝える。寿司用は形を工夫することで「寿司が最もおいしく見える」という45度の角度で並ぶようにする。刺身の盛り合わせ用トレーでは、豪華さを演出する赤や金の縁取り模様を「刺身にかかるかかからないか」のぎりぎりの位置に印刷することによって、刺身の魅力を引き出す――。

 広島県の東部、福山市で町工場から事業を興した小松は、食品トレーにこだわり、半世紀近くをこの道一筋に生きてきた。

 トレーは一枚あたり数円から数十円と、決して単価の高い商品ではない。それだけに、品質も売り方も、小松はそのすべてにこだわり、会社の強さを磨き、シェアトップを実現した。

 不況が日増しに深刻さを増していく中、小松が率いるエフピコの2009年3月期の業績見通し(連結)は、売上高1303億円、経常利益82億円に達し、いずれも過去最高を更新する見込みである。

コメント2件コメント/レビュー

日本の経営者ではないでしょうか。大量生産のときは、経理と交渉が大事でしたが、多品種少量生産には、技術の理解がないと間違った判断を下してしまいがち。社長が現場にくれば、直属の上司が認めてくれない案件でもと、必ずして欲しいことは相談できる。怠けるわけにも行きません。人を得ることの難しさを知り、自信は怠慢を生むことを失敗を通して経験しているから真摯に行動できる。取引先にも甘えはない。恩があるなら、そのひとが一番困ったときに助けるだけでいい。それは、自分が一番良く解っている。それが競争社会でいきること。安くていい物作る会社が儲からなければおかしいと思いました。(2009/02/27)

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日本の経営者ではないでしょうか。大量生産のときは、経理と交渉が大事でしたが、多品種少量生産には、技術の理解がないと間違った判断を下してしまいがち。社長が現場にくれば、直属の上司が認めてくれない案件でもと、必ずして欲しいことは相談できる。怠けるわけにも行きません。人を得ることの難しさを知り、自信は怠慢を生むことを失敗を通して経験しているから真摯に行動できる。取引先にも甘えはない。恩があるなら、そのひとが一番困ったときに助けるだけでいい。それは、自分が一番良く解っている。それが競争社会でいきること。安くていい物作る会社が儲からなければおかしいと思いました。(2009/02/27)

普段は見る事のないトレーの裏側を何となく見て、書かれた「エフピコ」の文字に「何だろう?」と思った事はありますがトレーメーカーの社名だったとは。外食を控え内食に積極的な家庭の多い昨今ですが、売り手としては300円のお買い得弁当より500円のお弁当を買って欲しい、そこで模様の入ったトレーで高級感を打ち出し顧客の購入金額を高めたい。無地トレーよりカラーの模様入りトレーの方が高いのは勿論だがそこを我慢してでも高いトレーを使いたいと思わせる商品を作る。内食が増えているという追い風があるにしても、良い物は良い、と言ってもらえる商品作りと言うのは大切ですね。(2009/02/27)

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