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中国に324軒、吉野家よりメジャーな「熊本ラーメン」

重光産業(熊本県熊本市)【前編】

  • 田原 真司

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2009年1月27日(火)

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 中国に進出している日本の大手外食チェーンで、店舗数が最も多いのは153店を展開する牛丼チェーンの吉野屋だ(台湾を除く。店舗数は同社ホームページより)。しかし、国内では吉野家よりはるかに小粒だが、中国では2倍以上の324店を展開する日本の外食チェーンが存在する。そう聞いて、すぐに社名が思い浮かぶだろうか?

 その答えは、九州の熊本市に本社を置く重光産業。「味千(あじせん)ラーメン」の屋号で、地元熊本を中心に国内に105店を構える中堅ラーメン・チェーンだ。

 40年前の1968年、熊本県庁前のわずか7坪(約23平方メートル)の敷地に開店した小さなラーメン屋から出発した。白濁するまで豚骨を煮込んだスープに細麺を組み合わせ、煮卵やキクラゲをトッピングするのが特徴の「熊本ラーメン」の草分けの1つである。

熊本の地方チェーンが中国で大化け

 創業者で前社長の重光孝治氏(故人)は、出身地である台湾の調味料にヒントを得た独特のたれを考案し、豚骨スープに加えた。そのコクのある味が評判を呼び、地元最大のラーメン・チェーンに成長した。

 とはいえ全国的には、熊本以外ではほとんど知名度のない一地方チェーンに過ぎない。東京や大阪にも出店しているが、チェーン店の7割は熊本県内に集中する。日本のラーメン市場では、関東風の醤油ラーメンや北海道風の味噌ラーメンの人気が高く、九州以外では豚骨ラーメンはマイナーな存在。醤油系や味噌系が好みの人なら、濃厚な味千のスープは「脂っこい」「塩辛い」と感じるかもしれない。

北京空港の第3ターミナルに出店した味千ラーメン(上) ブランドショップが軒を連ねる上海の淮海路にも店を構える(下)

北京空港の第3ターミナルに出店した味千ラーメン(上)。ブランドショップが軒を連ねる上海の淮海路にも店を構える(下)

 だが、中国ではまったく違う。本格進出は香港に1号店を出した96年。それから12年余りで、店舗数が日本の3倍を超える中国最大のラーメン・チェーンに大化けした。出店地域も香港、上海、北京、広州など沿海部の大都市から、四川省成都市、雲南省昆明市などの内陸部まで、全国的な広がりを見せる。2010年までに500店の展開を目指している。

 その勢いを象徴するのが、北京オリンピックに合わせて建設された北京空港の第3ターミナルにオープンした店舗である。面積は510平方メートル、席数は250席とチェーン最大。同ターミナルには、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、スターバックスなど世界的な外食チェーンが出店しているが、日本のチェーンは味千ラーメンだけだ。

 上海では、高級デパートやブランドショップが軒を連ねる淮海路に面して、ビルの1階と2階を使った大型店がある。昼時には若いビジネスマンやOLで賑わい、しばしば空席待ちの行列ができる。

中国でラーメンと言えば豚骨スープ

 店内は黒を基調にしたモダンな内装。トッピングの違いにより様々な種類のラーメンがあるが、最もシンプルな「味千拉面」は一杯18元(約234円)だ。黒いどんぶりに細麺と白濁したスープ、その上にチャーシュー、煮卵、キクラゲという組み合わせは、熊本の本店と変わらない。スープの味は、日本よりわずかに塩分と脂を減らしているそうだが、実際に食べてみると違いはほとんどわからなかった。

 中国には日本人が経営する醤油ラーメンや味噌ラーメンの店もある。だが、中国人の舌にここまで幅広く受け入れられたラーメンは味千をおいて例がない。その繁盛ぶりを見て、味やトッピングを似せた中国人経営のラーメン屋が続々と生まれているほどだ。今や中国で「ラーメン」と言えば、豚骨スープのラーメンだと言っても過言ではない。

 国内では、チェーン店のほとんどはフランチャイズで、重光産業の直営店は9つしかない。しかも、フランチャイズ店の半分近くは1970年代の“脱サラブーム”の時期などに加盟した個人経営。孝治氏は、こうした加盟店に配慮してライセンス料を安く抑えた。チェーン本部の売り上げは、国内では直営店の収入とフランチャイズ店への食材供給が中心で、昨年は約13億円。従業員数は64人。その姿は、典型的な地方の中小企業そのものである。

 資金力があったわけでも、現地事情に通じた特別な人材がいたわけでもない。そんな味千ラーメンが、なぜ中国で吉野家を上回るほどの急成長を実現できたのだろうか。



日経ビジネス1月26日号の「ひと劇場」(86ページ)で、重光克昭社長の人物像に迫る記事を掲載しています。そちらも併せてお読みください。日経ビジネスを定期購読いただいている方は、こちらからもご覧になれます

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