• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

第23話「工場は利益を作ると同時に、壊してしまう場所でもある」

2009年2月4日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回までのあらすじ

 経理部の細谷真理課長は、経理部長の団達也から課題を与えられていた。

 それは「キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)回転速度(日数)を10日以内にして、しかも月当たりの営業キャッシュフローを1億円増やす」こと。

 今のジェピーは、毎月900万現金が不足し、いつも58日分の現金が滞留している。言い換えれば、ビジネスに使った現金が再び回収されるまでに58日かかり、しかも回収した時には900万円目減りしているということだ。

 真理はそのためには実際に工場を見なければダメだと考え、長野工場への出張を願い出た。

 リストラ後、ジェピーは豊橋にあった工場を閉鎖し、長野工場に一本化していた。豊橋工場は、会社を追われた間中隆三元専務と斑目淳次元経理部長が結託し、仕掛品が積み上がる、現金を生まない工場となっていたのだ。

 豊橋工場の工場長でもあった三沢充常務は、解雇した従業員の再就職先探しに奔走していた。また、副工場長の金子順平は長野工場に転勤し、ロボット開発に従事していた。業務課長の木内修二も長野に来ていた。

根津の寿司屋

 真理は久しぶりに達也といきつけの寿司屋で待ち合わせた。明日からの出張の打ち合わせをしたいと、真理が誘ったのだった。約束の時間に寿司屋ののれんをくぐると、そこには、カウンターに座って主人と歓談する達也がいた。

 「団さん」

 真理は達也の肩越しに声をかけ、カウンターの椅子に腰を下ろした。

 「お先に頂いているよ。明日からの出張はきっと経験になる」

 達也は二合徳利を傾け、真理が差し出したぐい飲みに熱燗を注いだ。真理はそれを美味しそうに飲み干すと達也に言った。

 「あんなに実務のことを知らなかった団さんなのに、1年も経たないうちに、私より詳しくなっているんだから。ホントにすごい」

 「きみの経験にはかなわないよ。でも、ボクの方が少しだけ要領がいいのかもしれない」

 達也は真面目な顔で答えた。

 「要領って、頭の良さのことでしょ。それは私がかなうはずないわ」

 「真理ちゃん。ボクは、今きみが言ったのと同じ言葉を宇佐見のオヤジに向かって言ったことがある。そうしたら、あの大学教授がボクを怒鳴りつけた。つまらぬ言い訳をするな、ってね。そして、こう言ったんだ。『心ここにあらざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず。お前に足りないのは、知ろうとする気持ちだ』。関心がなければ、すべてが頭を素通りしてしまう。ボクはオヤジの教えを守って、一生懸命目を見開いているだけだよ」

 達也は、そう言って中トロの握りをほお張った。

 「そうか。関心を持つことが大切っていうことですね。じゃあ、どんなことに注意して工場を見たらいいのかしら」
 真理は、普段、会社では見せることのない素直な表情で達也に聞いた。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

一覧

「第23話「工場は利益を作ると同時に、壊してしまう場所でもある」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

小池さんがこの言葉(排除)を述べたことで、「風」が変わっていきました。 ただし、小池さんが言ったことは正論です。

若狭 勝 前衆院議員