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第12講 気持ちとは裏腹の表現がある

2009年2月14日(土)

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 早稲田大学教授のカワン・スタントが教育の中で最も重視しているのがケアリング(caring)だ。心に火をつけることでやる気を引き出す「スタント・メソッド」の根幹ともいえる。

 スタントは、学生一人ひとりの勉学の進捗度を把握するだけに限らず、人間としての成長を常に気にかける。それが落ちこぼれを極力なくし、個々人の埋もれた能力を引き出すことにつながっている。

 このケアリングは、大学教育の現場に限らず、社会のあらゆる場面で必要になるものだ。特に成果主義が浸透するビジネスの現場では、部下の育成、後進の指導も評価対象の1つになるだけに、

 「部下が、うまく育たない」
 「後輩をどう指導すればいいのか分からない」

 と頭を抱える企業人は、増えているかもしれない。では部下の成長をどのようなモノサシで測り、そして悩みからをどう救い上げればいいのか。

「3行感想文」が教えてくれるもの

 スタントは学生の出席状況や講義中の表情、そして講義後に必ず書かせる「3行感想文」など、複数の視点から学生たちの成長ぶりや、彼・彼女たちが今、何か悩んでいるのかを推し量る。そして、その成長度合いや、ぶち当たる壁の大きさに合わせたケアを施していく。

 「一番分かりやすいのは『3行感想文』。講義を重ねるたびに、書く分量から内容、そして文字の丁寧さも変わってくる。そこから学生が何を考え、どのような状態にあるのかを理解して、ケアする」とスタントは語る。

 2008年の後期にスタントが教鞭を執る「アジアの高等教育比較論」を履修した早稲田大学国際教養学部の1年生、廣松大和はまさに、その好例と言える。

 日本だけでなく、中国や韓国、シンガポールなどアジアの高校や大学といった高等教育を学ぶ講義で、廣松にとって個人的に関心のあるテーマだった。

 だが、廣松が最初に出席した講義での感想文は辛辣なものだった。

「あなたの英語は聞き取れない」に込められた思い

 「あなたの英語は聞き取れない」
 「日本のことは高校までにたくさん学んできた。(今回の講義で話題になった)OECD(経済協力開発機構)のデータだって既に知っている」

 2回目に出た講義ではこうだ。

 「すべての日本の学生がバカだと先生は考えるのですか?」
 「日本の大学の現状を嘆くだけでなく、それなら今、何をすべきかを話してくれ」

イメージ画像

 その時の廣松の風貌は半分が長髪で、もう半分が刈り上げという奇抜なヘアスタイルだった。見た目で人のすべてを判断することはできないが、やはり異様な雰囲気を放つ廣松に、スタントは“モンスター・スチューデント”だったらどうしようかと、恐怖さえ感じた。今では笑い話になるのだが、その時はそうだった。

 スタントは学生が基本的に英語で書いた感想文を1枚ずつ丁寧に読み込み、気になる点は線を引き、時には学生たちの意見に対して感想まで書いている。最初の廣松の感想文には何が書かれていたのか。

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「第12講 気持ちとは裏腹の表現がある」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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