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サイバーエージェントが実践する
イノベーションを生み出す方法

「想定外の環境変化」に対応し、先手を打つマネジメント

  • 山口高弘

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2009年2月18日(水)

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 サービス業におけるイノベーションとは何か。筆者は「想定外の環境変化に対応して新たなサービス又はその提供手法を創造すること」と捉えている。

 サービス業においては新産業・新業態がものすごいスピードで生まれている。企業間連携や買収なども盛んに行われており、昨日の敵は今日の味方、その逆もある。このような環境変化が激しい状況において求められるのは「予定調和・想定される事態への対応のマネジメント」から「想定外への対応のマネジメント」への転換である。

 つまり、何らかの想定される環境変化や目指すべきゴール、達成指標に向けてどのような戦略を構築し、どのようなプロセスで、どのような組織人員体制で対応するのか、という発想のマネジメントでは、想定外の環境変化には対応できない。

 どのような環境変化が起きても柔軟に対応し、変化をむしろ機会として捉えて攻勢に出ることができる、そのようなマネジメントへと転換していかなければならない。

 今回は、「イノベーション」論をサイバーエージェントの事例について展開してみたい。

イノベーションを起こしたくても起こせない理由

 前回でも述べたが、イノベーション=「想定外の環境変化への対応」が重要であると述べた。しかし、多くのサービス業に属する企業では実践できていない。なぜか。その理由は、イノベーションを阻害する要因が企業の中にはいくつも存在するからである。

 具体的には以下に示すような要因の存在により企業でのイノベーションは思うように進まない。

各国の名目GDPに占めるサービス産業の名目付加価値シェア
(1990、2004年)

変化への感度を低下させる企業理念・文化
目の前のシェア争いや収益確保に追われ、変革や新たな創造の価値を積極的に認めようとしない
前のめりに新分野を開拓しようという文化や風土が醸成されていない
後ろ向きの管理体質
リスクやチャレンジが重要と言いながらいざ取り組もうとすると反対する管理体質
プロセス中心の評価(会社がよいと認めた行動をきっちり取ったかどうか)による想定外の行動への不信任
過去の成功体験に縛られ、新たなイノベーションの価値を認知しないマネジメント
過去に成功した方法、組織のセオリーに縛られ、新しい変革に結びつく萌芽が認知できない
顧客から学ぶ姿勢が生む発想の硬直化
サービス業の経営のすべての起点は顧客から、と考えるがあまり、既存顧客の声を重視しすぎ、「ベター」にはつながるが「チェンジ」にはつながらない
組織間のセクショナリズム
組織の壁が高く、連携して活動すれば生まれるはずのイノベーションの芽が摘まれてしまう
コンプライアンスを過度に重視する経営スタイル
コンプライアンスを重視しすぎるために、短絡的な管理強化につながり、創造的な社員又はその行動が企業にとってのかく乱要因として排除されてしまう

イノベーションを持続するサイバーエージェント

 サイバーエージェント(以下CA社)では、イノベーションを阻害する要因をうまく取り除き、イノベーションを持続させている。

 まずは、CA社のイノベーション事例を整理しておきたい。

 CA社は、1998年に設立され、2000年には東証マザーズに上場している。事業内容は、インターネット広告を中心としたインターネット広告代理事業、ブログサービス、モバイルサイト、ECサイトをはじめとしたインターネットユーザー向けのサービス運営やコンテンツ提供を行うインターネットメディア事業、インターネット企業への投資を行い、キャピタルゲインを生み出す投資育成事業である。

 CA社では、1998年にはクリック保証型バナー広告サービスから始まり、99年にはオンラインショッピングサイト運営会社の設立、2000年には携帯電話向けサービス会社、2003年にはオンラインゲーム事業会社、2004年には結婚情報サービス会社、2005年にはビジネスマン向けポータルサイト運営会社、2006年にはクチコミマーケティング会社、2007年にはSEO会社、2008年にはモバイルサイト制作会社の設立など、毎年新たな事業や子会社を開始、設立し続けている。

 中でも2004年に開始されたAmeba事業は、パソコンからも、携帯からも更新・閲覧が可能であり、話題の著名人ブログ数は国内最多を誇る。国内でも有数のインターネットメディアとするため、ユーザー確保・PV拡大を目的に先行投資を行ってきたが、今年度中の単月黒字化を見込んでいる。

「想定外の環境変化」を柔軟に受け止め、新分野を切り開く

 なぜCA社ではイノベーションを持続させ、発展し続けることができるのか。その答えは「イノベーションの阻害要因を取り除くためのマネジメント」が実践されているからである。イノベーションにつながるアクションの背後にはどのような要因があるのか。CA社の持つイノベーション持続へのメカニズムを探ってみたい。

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