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日本でも注目され始めた「ソーシャルベンチャー」になる

ボランティアではなく“社会インフラ”を目指す

  • 伊藤 利江子

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2009年2月25日(水)

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パブリックの世界でイノベーションを起こす

 「イノベーション」は、企業活動に対してよく使われる。最近では政府活動に対しても使われ始めている。日本国の課題を解決するために求められるイノベーション。

 筆者は、企業と政府だけでなく、第3の勢力と言われるNPO(非営利組織)・NGO活動(非政府組織)におけるイノベーションも同じくその重要性を持つと考えている。言い換えると、行政(第1の勢力)、民間セクター(第2の勢力)に加えて、NPO・NGOなどをそれらと同等に重要な勢力=第3の勢力としてその重要性を認識する必要があるということである。

 なぜ重要なのか。それは、一言で言うと、民間企業でも政府でもうまく解決できない課題、つまり「誰も対応できていない課題」があるからである。その典型例の1つが、これから紹介する「育て上げ」ネットが立ち向かう「若年の自立」という課題である。

 今後、どのようにして第3の勢力が、「誰も対応できていない課題」に対して立ち向かうのか。そのためには、民間企業や政府と同じく、第3の勢力におけるイノベーションが必要である。

 本稿では、第3の勢力として今注目されつつあるNPO法人(特定非営利活動法人)「育て上げ」ネットのイノベーションとその仕組みを取り上げたい。

日本のNPOの厳しい現状

 世界に目を向けてみると、第3の勢力から事業化に成功した例として、最近最も有名なものは、バングラデシュのグラミン銀行だろう。グラミン銀行は、これまでは資金の貸し手となり得なかった貧困層を対象に、比較的低金利の無担保融資(マイクロクレジット)を農村部中心に展開している。

 グラミン銀行とその創始者であるムハマド・ユヌスがノーベル賞を受賞したことをきっかけに、日本でもソーシャルベンチャーやソーシャルイノベーションという概念が注目され、ソーシャルベンチャーの担い手たちがNPOを立ち上げることも多くなってきた。

 しかし、日本のNPOは、事業を行うというよりも、ボランティア団体の延長線上という見方、扱われ方をしているのが現状である。日本のNPOが第3の勢力としては程遠いことを、財政・雇用状況から見てみよう。

 以下の図は、全国のNPO法人の正味財産規模別、事業収入規模別の法人数を示している(NPO法人:NPOの中でも、特定非営利活動促進法=NPO法=に基づき法人格を取得した法人)。

 2007年にあった約1万3000のNPO法人のうち、正味財産規模別法人数を見てみると500万円未満が全体の86%を占める。1億円以上の法人は、全体の1%である。事業収入規模別法人数を見てみても、500万円未満の法人が全体の73%を占めており、1億円以上の法人は2%である。このように、正味財産規模、事業収入規模から見ても、極めて事業規模の小さなNPO法人がほとんどである。

出所:『NPO白書2007』

 雇用状況についても、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)「NPO法人における能力開発と雇用創出に関する調査」によると、約6割が有給スタッフを雇用しているものの、その有給スタッフのうち6割が非常勤スタッフであるという。このため、有給スタッフの賃金水準は非常に低く、NPO法人から給料を得ている人の約4割が年間100万円未満であり、300万円以上得ている人は全体の13.6%である。

出所:『NPO白書2007』

 NPOの世界では、多くの支援者が30歳前半で、このような低い、しかもそれほど年齢とともに昇給しない、不安定な状況に支援を断念してしまっていることがよく指摘されている。この現状で、日本のNPOに未来はあるのか。この状況を打開するためのヒントはないのか。

 今回は、若者自立支援事業の世界で活発な取り組みを行っている「育て上げ」ネットのイノベーションを起こす仕組みについて紹介し、NPOが事業として継続するための仕組みについて考察したい。

「育て上げ」ネットとは

 「育て上げ」ネットとは、2001年にニート、フリーターを中心に、コミュニケーションや人間関係、働くことに不安を感じるなど問題を抱えている若者、保護者等に対して自立支援を行うために設立された団体である。

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