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第25話「売上高が2割増えたくらいでは、利益は出ませんね」

2009年2月25日(水)

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前回までのあらすじ

 経理部の細谷真理課長は、経理部長の団達也から課題を与えられていた。

 それは「キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)回転速度(日数)を10日以内にして、しかも月当たりの営業キャッシュフローを1億円増やす」こと。

 真理はそのためには自分の目で工場を見なければならないと考え、長野工場へ出張していた。

 工場ではスイッチの生産量を上げるため、生産体制を「3直」としていた。しかし、長野工場の金子順平は、「生産量は予定の半分」しかないと言う。真理は混乱していた。しかも金子は「在庫がたまる」とまで言うのだ。

長野工場

 真理は翌朝早く目が覚めた。昨夜は日本酒を飲み過ぎたかも知れない。

 「信州はいいところですね」
 居酒屋で、金子は何度もこの土地の自然や食文化の素晴らしさを口にした。

 「それに、みんなやる気があるんです。いい人ばかりですし」と言って、満面の笑みを浮かべた。
 昨夜の金子を思い浮かべて、真理は気持ちの高揚を感じた。

 真理が長野工場に着いたのは、まだ朝の7時だった。だが、すでに金子は作業着姿で机に向かっていた。仕事をしていた。生産ラインでは、10人を超える作業者がせわしく歩き回っていた。

 「皆さん早いんですね」
 「今日の仕事の段取りをしているんですよ。1日で何種類も作りますからね。部品を製造オーダーごとに取りそろえたり、ロボットに取り付ける金型を準備したり、人の配置を考えたりと忙しいんです」

 「何種類くらいの製品を製造してるんですか?」
 真理は聞き返した。

 「コネクターと可変抵抗器がそれぞれ20種類、スイッチが20種類くらいです。でも、1つの製品は10以上のシリーズに分かれるんです。シリーズごとに取り付ける部品の形状や取り付け場所が異なりますから、シリーズが変わるたびに部品や金型を取り換えるんです」

 全部合わせて40種類なのに、シリーズまで考慮すると実質的には400種類作ることになるのだ。

 「スイッチの受注は増えているようですね」
 「今電子部品業界は大変なんです。昨年8月と比べると生産量は半分です。でも、おかげさまで、うちのスイッチは受注が増えているんですよ。さばききれないくらいです。それで2交替制(2直)にしました」

 真理は金子の言葉が引っかかった。確か少し前、3直にしてもさばききれないほどだと言っていたはずだ。

 「3直ではなかったでしょうか?」
 真理が問いかけると、金子は「最初はそのつもりだったのですが…」と申し訳なさそうに言った。

 「注文があるのに、なぜ2直にしたんですか?」
 「生産量が増えないんです。それに仕掛かり在庫が溜まってしまうんです。結局、作業者が遊んでしまうんですよ」

 真理は金子の言っていることが腑に落ちなかった。一部の製品は3直にしてもさばききれない受注がある。しかし、生産が上がらず、仕掛かり在庫が増えてしまうというのだ。

 (イメージしていた工場の姿と現状とは食い違っている…)

 生産量を増やせば製品原価は安くなる。つまり1直を2直にすれば製品の価格競争力は増す。ところが、注文があるというのに生産が上がらず、製品原価も下がらない。

 ジェピーの経営者が2直にした理由は、利益が増えると考えたからに他ならない。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第25話「売上高が2割増えたくらいでは、利益は出ませんね」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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