モバイル広告という急成長市場で躍進するベンチャー企業。会社説明会には学生が1万8000人以上集まると言います。給与など待遇面が比較的いいこともありますが、“就職氷河期に経験した大企業のひどい仕打ち”を反面教師に、証券会社出身の増永社長は「サービス残業・ノルマ・競争なし」などのユニークな経営を打ち出しています。それゆえに人気で、競争率約1000倍にも上ります。採用面接は2カ月間にも及ぶほど厳しいのですが、「それでも入りたい会社」だそうです。
NBO: 最後の面接では2時間かけているそうですが、何をチェックしているんですか?
「利他の心」と「物事を突き詰める力」が大事
増永: 2つのことを見ます。
1つは、その人が他人に貢献する気持ちを持っているかどうか。P・F・ドラッカーが言っているように「知識労働者の仕事は、人に貢献して初めて仕事」になります。独断的な方に“仕事”はできないからです。
永禮(ながれ): 今の学生は成長志向が強くて、「御社に入れば成長できると思う」という志望動機をよく挙げるようですが・・・。
増永 寛之(ますなが・ひろゆき)氏
ライブレボリューション代表取締役社長
1974年生まれ 奈良県出身。早稲田大学大学院商学研究科修了。「宇宙一の企業を創る」― 2000年8月、株式会社ライブレボリューションの代表取締役社長に就任。読者数18万人を超える経営者向けメールマガジン『プレジデントビジョン』の発行者。著書に『宇宙一愛される経営』(総合法令出版)、『プレジデントビジョ
ン 起業への情熱』(アーク出版)などがある
増永: でも、世の中の大半の会社は、「あなた個人の成長には関心がない」んですよね。
永禮: そうですね。
増永: そうではなく、会社は、「あなたの成長が会社に役立つのか」「あなたの成長がお客様に役立つのか」に興味がある。だから「自分が成長した結果お客様に役立ちます」ではなく「このお客様の役に立つには、今自分も成長しなければいけない」と考える人が僕らの会社には望ましいのです。
甲子園に出場する高校生も、「僕がプロになるため」と考える人は多いと思いますが、「学校の友達を喜ばせたい」「このチームメートを甲子園に連れていきたい」と真剣に考えられる人がいいですね。
もう1つは「物事を突き詰める力」を持っているかどうかです。「これは僕がやりたいことじゃないから、適当にやろう」と考えるのではなく、「与えられたからにはトップを取るまで究めよう」と考えられる人を探しています。そういう人は、自分でミッションを突き詰めます。だから、人から教えてもらおうとは思わない。他人からやらされていると思うこともない。
永禮: サンプル数が十分ではないので正確には言えないんですけれど、今の若い人は、目の前の仕事が面白いか面白くないか、自分の成長にすぐにつながるかどうかで、仕事にすぐ見切りをつける傾向があるようです。「同期のAさんは華やかな仕事をしているのに、なんで俺は、面白くもない仕事をしているのか」と焦る人たちもいるでしょう。そういう人たちはどう導いていけばいいのでしょうね。
増永: 分かります。だから、そうした問題が起きないような仕組みにするんです。うちの場合は、営業とか、技術とか、サポートとか、職種による給料差はないし、職種による出世コースもない。だから社員は自分の処遇で焦る必要はないんです。
永禮: 一律に扱われても、別にサボるようにならないし、仕事の評価に対する不満も感じないのはどうしてなのでしょう。事業家を志すような人を採らないなど、採用段階で“担保”されているからですか・・・。
成果主義をやめたら仕事の生産性と業績が伸びた
増永: だと思います。実は、2005年4月までは個人別の成果主義を採用していたんですが、結局、やめました。当時は「何で営業はインセンティブがつくのにデザイナー、経理はつかないの」と混乱していましたね。よくよく考えてみると、仕事ってすべてどの部門も連携しているんです。だから、会社が個人の成果を測ることは、全部やめることにしました。
永禮: すべての人が同じ給料なんですか?
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