【日本を救う小さなトップランナー】細渕電球(特殊電球の製造・販売)

技で輝く唯一無二の電球

  • 日経ビジネス

 世界に通じるモノ作り。本誌はこれまで高い技術と生産能力を持つ日本企業を多く描いてきた。その対象はトヨタ自動車やソニーといった大企業に限らない。規模が小さく、知名度が低くても、産業界に欠かせない製品や部品を作る中小企業が全国に数多くある。

 このシリーズでは本誌の人気コラム「小さなトップランナー」から優れたモノ作りの現場を紹介した記事を連続で取り上げる。
(注)内容はすべて雑誌掲載時のものです。

* * *

2007年9月10日より

超小型などの特殊な電球の製造で「駆け込み寺」と呼ばれる会社がある。
熟練の職人が0.1mm単位の作業を重ね、一つひとつを手作りで仕上げる。
大手がやりたがらない「割に合わない仕事」が生き残る道と心得ている。

(石川 潤)

 胃カメラなどの内視鏡、眼科医が使う検眼鏡、工場でマーキング(印づけ)に使う装置、鉄道の信号機、コンビニエンスストアで焼き鳥などを温める保温器 ――。フィラメントに電流を流して輝かせる電球は、一般家庭の明かりとしてだけでなく、世の中の様々な場面で使われている。

 蛍光灯やLED(発光ダイオード)の利用も増えているが、小さな明かりは蛍光灯では作れない。LEDでは一定以上の明るさや熱は生み出せない。まだまだ電球に頼らざるを得ない用途は多い。

 このような特殊な用途に使われる電球は、当然ながら、大量生産には馴染まない。オーダーメードで数百個単位で製造することが求められるためだ。大手メーカーが規格品の大量生産にシフトする中、特殊電球の少量生産に対応できる会社は日本でもほとんど残っておらず、産業のボトルネックになる可能性が指摘されている。

 そうした状況の中で、25人の熟練の電球職人を擁し、手作りで顧客企業の厳しい要求に応えている会社が東京都荒川区にある。電球製造の「駆け込み寺」、細渕電球だ。2006年11月期の売上高は約5億円とまだ成長途上だが、きめ細かな製品作りへの評価は高く、着実に利益を生み出している。

100年の技が電球を仕上げる

職人たちが技を競う作業場に立つ高橋建志専務

職人たちが技を競う作業場に立つ高橋建志専務 (写真:大槻 純一)

 「1つの電球を作り上げるのに、職人が100年以上をかけて習得した技術が必要になります」

 高齢の細渕修社長に代わって会社を切り盛りしている高橋建志専務は、電球作りについてこう話す。

 電球製造はいくつもの工程に分かれている。フィラメントを装着する支柱(ステム)を作る工程、フィラメントをステムに溶接する工程、ガラス球を作って、その中にフィラメントなどを封じ込める工程などだ。工程ごとに専門の職人がおり、それぞれ10年、20年という経験の中で技術を磨いている。

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いただいたコメントコメント1件

職人の高度な技術、消してしまうにはもったいない。残すには、仕事の確保と育成ですが、個々の企業での努力だけでは困難なのが実情。  月並みですが、技術要素を細かく分解し、類似技術の他への転用、他からの転用(別の仕事をしていても、基礎が共通とか)  職人技術の技術レベル細かく分類し、国が資格として認めるとか。資格認定団体のような天下り先が増えるのは問題だが、試験を国から認定された複数の企業が行うのが良さそう。  昔、戦のために刀を作っていた刀鍛冶が平和になったときに、包丁を作ったとか、鉄砲鍛冶が機械物を作ったとか、時代に合った技術伝承が必要でしょうね。超小型電球を作る技術は案外、バイオや電子部品の試作等の分野にも使えるかも?(2009/03/04)

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