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第27話「会社の経営に裏金は必要悪ではないでしょうか」

2009年3月11日(水)

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前回までのあらすじ

 ジェピーは豊橋工場を閉鎖し、長野工場に生産拠点を集約していた。長野工場には、生産体制の効率化により、受注が増えているマイクロスイッチの新製品をはじめ、部品の売り上げを増やすことが求められていた。

 経理課長の細谷真理は、長野工場に出張し現場を自分の目で見てきた。「生産体制を2直にしても生産は増えず、仕掛かり在庫は溜まり、売り上げも増えない」――。長野工場の金子順平がこうこぼすのはなぜなのか。真理はその原因が検査工程にあることを確かめた。

 間中隆三はジェピーの専務だった。しかし、当時経理部にいた沢口萌と結託して会社の財産を横領したうえに、会社そのものを乗っ取ろうと画策したことを株主総会の場で団達也に糾弾され、ジェピーを追われていた。 当時経理部長だった斑目もこの時、ジェピーを辞めていた。

 萌は、銀座の高級クラブ「真紀」で働いていた。萌の心の中にあったのは「復讐」という言葉だった。

根津の寿司屋

 「長野工場の様子、どうだった?」

 達也がぐい飲みを右手に持ってカウンターに並んで座った真理に聞いた。

 「豊橋工場を閉めてから急に生産量が増えたせいでしょうか、活気がありました」

 以前は豊橋工場が主力だったため、長野工場ではコネクターと可変抵抗器を手組みで作るだけだった。ところが今では最新鋭のロボットが夜中まで忙しく稼働している。こんなに世の中の景気が悪いというのに、長野工場に悲壮感はなかった。

 「でも」と言って、真理は不満を口にした。
 「生産高はやっと月1億5000円で、目標の年40億円にはほど遠い状態なんです」

 あと数カ月のうちに営業キャッシュフローから借入金を返済できるようにしないと、ジェピーの知的財産権は他社に持っていかれるのだ。

 「でも注文はあるんだよね。だから1直から2直に延長したはずだ」
 達也は真理の言葉の意味が理解できなかった。確かに、コネクターと可変抵抗器の受注は惨憺たる状況だ。従来型のスイッチの売り上げも減っている。だが、新製品のスイッチの受注は好調なのだ。

 「工場の様子を観察して、何か気づいたことがあったかな」
 達也が聞いた。

 「部長に言われた通り、部品の移動ケースに色紙を貼って、仕掛品の動きやロボットの稼働状況をずっと見ていました。いろんなことが発見できました」
 真理は興奮して話を続けた。

 「私、会計数値からしか会社のことを見てこなかったでしょ。それに、会計数値は会社の実態を正しく表しているって、疑ったこともなかった。でも、それは間違いですね」

 達也はうれしそうな表情で聞き返した。
 「どんな点が間違いなのかな」

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第27話「会社の経営に裏金は必要悪ではないでしょうか」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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