「インタビュー 鈴木修 「俺は、中小企業のおやじ」」

「走り続けないといけないんです」
鈴木修・スズキ会長兼社長インタビュー(その4)

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2009年4月7日(火)

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その1「今は“最悪”なんです」から読む。
その2「“産業革命”が起きるんです」から読む。
その3「現場にはお金が落ちています」から読む。


鈴木修会長兼社長 (写真:大西 成明)

 鈴木修会長兼社長(以下 鈴木会長) あのね。私は、これまで過去の話なんかしてもしょうがないと思ってきたんです。「とにもかくにも前進あるのみ」というのが私。昔のことを書いた資料なんてこれまで、ぱっぱと捨ててきたんです。

 だけど、スズキは今最大の危機です。これまで30年以上右肩上がりで成長してきたので、過去にスズキが存亡の危機に直面したことがあることを知らない幹部がほとんど。危機を知る人間は俺しかいないんです。

 これじゃぁいけないと思い本にまとめたんですが、昔の資料とか捨ててきたからね、過去の話を思い出すのは大変な作業でしたね。

 ―― これまで会長が話した言葉も“経営語録”としてまとめてありますね。「経営危機は25年周期でやってくる」「トップダウンイズコストダウン」「光と重力はタダ」「『率』は実態を覆い隠す」などなど。新聞、雑誌などでおっしゃっていた言葉が40近く載っています。こうした言葉は常日頃おっしゃっていることだから思い出すのは楽だったのでは。

  鈴木会長  まぁ「2年前の何月何日、修さんは仙台に行ってましたね。仙台で何をしていたんですか」とか急に言われると困るんだが、こうした言葉は大丈夫だ。常日頃に言っていることだからね(笑)。

 ―― では、自分の言葉の中でも一番印象に残っているのは何ですか。

  鈴木会長  うーん。一番印象に残っているのはやはりこれか。世間で誤解されてきた部分もあり修正したいこともありましたから。

語録:「GMは鯨 スズキは小さな蚊」

 鈴木会長 あのね。この言葉については、いくつかの説明がいるんです。

 まず、28年前の1981年、スズキはGMと業務提携をしました。小型車の開発や生産を手伝ってほしいと申し込まれたからです。

 私は社長になって3年目。記者会見の場で「スズキはGMにのみ込まれるのでは」という記者たちの失礼な質問(笑)に対して、こう答えたのです。

 「GMは大きな鯨です。一方、スズキはメダカよりも小さな蚊。メダカならば鯨にのみ込まれてしまうかもしれませんが、小さな蚊なら、いざという時には空高く舞い上がり、飛んでいくことができます」

 世界一の自動車メーカーと、日本最後尾にいた自動車メーカーとの提携だけに、世間の方々が、のみ込まれて、スズキがなくなるかも、と考えるのは、まぁ無理はない。それでも、提携は提携だし、対等パートナーだという気持ちが、失礼な質問もあり、その場では強かったんです。

 だけどね、当時の気持ちは、やはり、対等のパートナーではない(笑)。

 うちは“下請け”だったんです。GMがうちのクルマを認めてくれたから、一生懸命頑張ろうと、いいものを造って差し上げなきゃいかんという気持ちだったんですよ。

 GMのクルマなら、よし、お前が頼むなら造ってやるぞという発想じゃなくて、いいものを造って認めてもらいたいという気持ち。下請けさんってみんなそうなんです。クルマの造り方を教えてもらったと。 

 だから「提携じゃないよ。GM、世界一の自動車メーカーの下請けになったんだ」と。初めて書いた本でも、ではそのあたりの心情は正しく伝えたかった。

 ―― しかし、そのGMとの資本・業務提携関係にも変化があった。

 鈴木会長 昨年(2008年)11月に、GMからの要請を受け、GMが保有していたスズキの株式をすべて買い取らしていただきました。だが、こんな状況になるなんて予想はしてなかった。

 あの巨大企業でさえ20年、30年のスパンで見ると危機に陥ることがあるんです。だから、国内でシェア何位とか業績が何番目とか、目先の業績で言われてもね・・・。

 やはり“一歩引いて”見たくなるんです。(以下略)

(※その2より抜粋)


 ―― 他に、印象深い言葉がありますか。

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著者プロフィール

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長。

鈴木 修(すずき・おさむ)

スズキ株式会社 代表取締役会長兼社長。
 1930年1月30日、岐阜県益田郡下呂町(現下呂市)生まれ。中央大学法学部卒業後、銀行勤務を経て、58年4月、鈴木自動車工業(現スズキ)に入社。2代目社長鈴木俊三の娘婿となる。63年11月、取締役に就任。67年12月に常務、73年に専務、78年に社長就任を経て、2000年6月から会長、2008年12月には再び社長を兼務する。ハンガリー名誉総領事も務める。趣味は週1回のゴルフ。著書に『俺は、中小企業のおやじ』

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