• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第33話「経営者や経理責任者は、この計算方法に疑問を抱かないのです」

2009年4月22日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回までのあらすじ

 ジェピー経理部長兼CFOの団達也はジェピーを変革するため、手綱を締めていた。長野工場の生産工程を見直し、現金の回転速度を上げるよう各担当者に求めていた。材料、製品、仕掛品、そして売掛金の回転日数を合計で127日以内にし、キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)を10日以内にせよということだ。

 達也は使った現金が再び回収されるまでにかかる日数を、現状の約4カ月から10日にすることがジェピーの喫緊の課題と考えていた。さらに、ジェピーに不利な売掛金回収の条件も見直すよう、営業部長の関山に求めた。

 達也が変革のスピードを上げようとする一方で、ジェピー社内では達也に反目する社員が目立っていた。

 関山部長が達也の要請に明らかに不満を示しただけでなく、豊橋工場にいた木内が達也に公然と反論したり、経理部の田中が役員会議を盗み聞きする“事件”が起きたりしていた。

 経理部の細谷真理課長は達也を信頼していたが、最近の達也の言動に不安を感じていた。

 ジェピー社長の財部益男は、アメリカの大手電子部品会社、UEPCとの交渉を独断で進めようとしていた。

ジェピー本社会議室

 「私がなぜCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)の短縮にこだわるのか、お話しします」
 達也は全員を見渡した。その姿はジェピーのCEOそのものだった。

 「例えば、仕掛品の回転日数は月末の在庫を使って計算します(月末仕掛品残高÷1日売上原価)。このように、管理会計では一時点の資産(在庫・売掛金)を使います。経営者や経理責任者は、この計算方法に疑問を抱かない。皆さんのことを言っているのではありません。管理会計を学んだ人の大半はこの手法を正しいものと思っています。

 しかし、これはいわば静止画に過ぎません。静止画ということは、その前後に何が起きているのか分かりません。今起きている危機に気づかないのです」

 自信に満ちて話をする達也とは対照的に、真理は達也が何を言いたいのか、理解ができなかった。三沢常務、関山営業部長、そして長野工場の金子副工場長の3人も難しい顔で聞いていた。

 (結局、団部長はここにいる執行役員たちを批判しているんだわ)
 真理はそう感じざるを得なかった。同時に、達也が口にした「静止画」という言葉が気に掛かった。

 達也は金子に質問した。

 「長野工場にある在庫金額はいくらですか」
 金子は戸惑いながらも懸命に頭を働かせて答えを探した。

 「いくらといっても、毎日変動しますから何とも言えません」

 「どのくらい変動するんですか?」

 「プラスマイナスで5億円くらいでしょうか。材料と仕掛品の在庫は月によって大きく違いますし、1カ月をとっても日によって大きく増減します」

 「そうですよね。でも会計資料を見ても、在庫が日々変動しているなんて分からない。だから、大切なことを見落としてしまうのです」

 (そうか!)
 真理は達也の言った「静止画」の意味が分かった。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

一覧

「第33話「経営者や経理責任者は、この計算方法に疑問を抱かないのです」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

もう中山素平のような人物が銀行の頭取という形で現れることはないだろう。

佐藤 康博 みずほフィナンシャルグループ社長