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「会社を設立して、幸之助創業者の気持ちが少し分かった」

F1、MotoGPバイクに搭載される“知る人ぞ知る”エコ電池の会社

2009年4月28日(火)

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 1986年に入社して以来、ずっと2次電池を研究してきました。

 2次電池とは充電しては繰り返して使える電池のことです。小型電池では携帯電話機などあらゆる家電製品に使われてます。ニッケル・カドミウム蓄電池(二カド電池)からニッケル水素蓄電池、そして、リチウムイオン2次電池があります。どれも同じ蓄電池と思われるかもしれませんがそれぞれ特性が違い、研究アプローチも異なります。

 手前味噌になりますが、この3つの電池すべてを渡り歩いた技術者はそういません。この3つを研究してきたからこそ、今回の新しい電池が生まれたのです。

 もともと海外のF1レースチームから要求されて考えたのですが、世の中にないモノができたのは嬉しい。松下幸之助創業者が言うところの一商人として世に問いたいんですね。だから、スピンアップ・ファンド制度に手を挙げたのです。 パナソニックの事業としてできればよかったのですが、この商品はいつ立ち上がるか分からないので社内でやるのは難しかった。

 今回、会社を立ち上げて、幸之助創業者の言葉が初めてしみてきました(笑)。幸之助創業者も「ソケット」とか考えても、当時の上司に採用されなかったから、会社を設立しようと決意したんですね。

 社内ベンチャーではなく完全に外に出た方が本当は個人的には儲かると思うんですよ。でも、この商品をいち早く広める道を考えて、社内ベンチャー制度に応募したのです。


充電できる電池が「2次電池」

 お話をお伺いする前にまず、青木さんが研究してきた2次電池について、簡単に説明しておきたいと思います。

 いわゆる、充電できる電池が2次電池。わたしたちの身の回りにある電化製品、携帯電話やデジタルカメラなど充電して使っている製品にはまず入ってます(詳細は下図を見てください)。

 自動車や2輪バイクなどに入っている高い電圧を出す電池もあります。これは鉛蓄電池が代表格です。この鉛蓄電池は歴史が古く、価格帯もこなれており実に幅広い分野で使われています。便利な半面、鉛を含んでいることからリサイクルの問題、小型化・軽量化が難しいと言われてます。

充電して繰り返し使える小型2次電池
ニカド電池 電圧は1.2Vで、ニッケル水素電池と同様、アルカリ乾電池と互換性(同じ形のもの)があり、電池を頻繁に交換して使用する機器にお薦めで、経済的。ただし、専用の充電器が必要。
コードレス電話、電動歯ブラシ、シェーバーなどや電動工具などの大きな電力を必要とする機器や非常灯にも使われている。
ニッケル
水素電池
電圧などの特長はニカド電池と同じ1.2Vで、アルカリ乾電池と互換性がある。
同じ大きさで、ニカド電池に比べて約2倍の電力を持っている。
小型では、ヘッドホンステレオ、シェーバー、ノートパソコンなど、中型の電池では、ハイブリッド車、電動アシスト自転車などに使われている。
リチウム
イオン電池
電圧が3.7Vと、ニッケル水素電池などの約3倍の電圧で、軽くて大きな電力を持っていることが特長。
携帯電話、ノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラなどに使われている。モバイル機器になくてはならない最先端の電池。
充電して繰り返し使える2次電池
鉛蓄電池 鉛蓄電池の単電池当たりの電圧は2Vで、電池の中で直列につながれて、自動車用などには12Vとしている。
自動車用や2輪車用などの他に電気自動車や フォークリフトなどに使われている。
産業用では、無停電電源装置(UPS)等、病院や公共設備の非常用電源などとして、多くの用途に対応できる蓄電池と して、幅広く使われている。
アルカリ
蓄電池
ニカド電池の大型のもので、鉛蓄電池と同じように、病院などの非常用電源として使われている。
鉛蓄電池に比べて長い期間にわたって使えることが特長。

出典:電池工業会

タイムのために軽くしたいけれど…

 ―― 2003年頃、青木さんのもとに某F1レースチームの車両開発者が海外からやってきました。「レースカーに搭載している鉛蓄電池に代わる軽い蓄電池はないのか」と。ここから開発が始まるんですよね。

青木 護(あおき・まもる)氏
1960年神奈川県横須賀市生まれ。山梨大学大学院、応用化学専攻卒業。86年松下電池工業アルカリ蓄電池事業部(現パナソニック・エナジー社・エナジーソリューションビジネスユニット)に入社、ニカド蓄電池、ニッケル水素蓄電池の開発に携わる。2007年、イブリダセルを設立

 青木 タイムを競うモーターレースで大事なのはスピード。そのため車両重量はできるだけ軽くしたいのです。軽い蓄電池といったらニッケル水素電池(以下、ニッケル水素)が最適。ニッケル水素であれば、鉛蓄電池の約半分の重さにはできますよ。

 ただ、ニッケル水素は充電が面倒なんですね。一定の定電流で充電しなければならないので、結局、専用の充電装置で充電した電池をいっぱい用意して、随時バイクとか車に積んでいくことになります。

 レースはだいたい2時間だけど、2時間だけもてばいいというものではない。予選もあるし、その前の準備とかもある。2時間しかもたない電池だと何日も走れないから、裏方は何個も充電しておかなければならないんですよ。

 何個も蓄電池を置くには場所もいるし手間もかかるので、鉛蓄電池のように「走りながら充電できる電池が欲しい」とのニーズがあったのです。

 ―― なるほど、ニッケル水素は軽いけど一定の条件下でないと充電ができないので面倒。鉛蓄電池のような走りながらも充電できる電池はないか、と。

 青木 充電方式だけでいえば、リチウムイオンがいいんですよ。ところが、鉛と互換性があるとは聞かない。

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「「会社を設立して、幸之助創業者の気持ちが少し分かった」」の著者

瀬川 明秀

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ビジネスアソシエなどを経て、日経ビジネスオンライン開設後はオンライン編集がメインの業務。2012年からは日経BPビジョナリー経営研究所の研究員を兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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