「“世界で売りたい” 日本のニュー・サービス」

ガソリンスタンドはエネルギースタンドになる

“商売”になる「まちのエコロジーステーション」

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2009年5月13日(水)

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 第27回のサイバーエージェントでは個人知を組織知に変えるイノベーションの仕組みを紹介したが、それは一定規模の企業だからできる仕組みである。しかしながら、サービス業は家族経営のものも多く、顧客との対面接触でサービスを提供するものが多い。

 そのようなまちのサービス業におけるイノベーションは個人のひらめきや力によるところが大きい。今回、紹介する油藤商事は家族経営のまちのガソリンスタンドであるが、日本環境経営大賞地域交流賞など数々の賞を獲得する全国でも注目されるガソリンスタンドである。危機感をバネに固定観念を捨てて見方を変えることで、小さなサービス業も甦ることが可能である。

何もしなければつぶれていく宿命のスタンドに見えた

油藤商事の外観油藤商事の外観
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 油藤商事のガソリンスタンドは、滋賀県豊郷町の生活道路に面した、周囲には農地も広がる場所にある。明治から続いている老舗であるが、幹線道路に立地しているガソリンスタンドに取り囲まれ厳しい経営状況が続いていた。

 現在、専務を務めている青山裕史さんは大学卒業後、三菱石油(当時)に入社し、石油の流通を学び、3年後に家業を引き継ぐためにここに戻ったそうだが、「ビジョンが全くなく、何もしなければつぶれていく宿命のスタンドに見えた」と言う。

 ガソリンスタンドの経営は厳しい。業者間での談合が一切ない。地域ごとにプライスリーダーがいて、そこの価格に合わすことになる。昨年夏頃にガソリン価格は180円/リットルになったが、100円/リットルでも利益額は10円など一定である。ガソリン高騰時には売上は増えるが利益率は低くなる。メーカー間流通が進んでおり、メーカー間でガソリンの質に差をつけられない。

 一般的なスタンドの売り上げの6割が燃料で、4割が油外と言われるタイヤ、備品、洗車などの売り上げである。燃料の売り上げが増えない中、油外を増やすのが重要となっている。しかしながら、低燃費車が増えており、このままではスタンド経営を辞めるという選択肢が最善と判断するスタンドも増えるのではないだろうか。

「売り手よし、買い手よし、世間よし」のイノベーション

 以下に、油藤商事の事業展開の軌跡を追いながら、事業におけるイノベーションとその成功要因を述べてみよう。


成功要因1:「まちのエコロジーステーション」という独自コンセプトの設定、強化

 青山さんは、家業を継ぐことになって何とか違うコンセプトを立てないといけないと考えた。環境、エコロジーということが言われ始めた頃である。滋賀県はこの分野で先進県であった。ガソリンスタンドでできるエコロジーなことで、お客さんも喜ぶこととして何がいいだろうと考え、まずは空き缶のリサイクルから始めた。

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著者プロフィール

石井 良一(いしい りょういち)

石井 良一

1955年東京都生まれ。1978年早稲田大学理工学部卒業、1980年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了、2002年ペンシルバニア大学都市計画大学院修了、Ph'd。現在、株式会社野村総合研究所社会産業コンサルティング部公共革新コンサルティング室長、滋賀大学地域連携センター特任教授を兼務。専門は、公共経営、地域再生、中小企業育成など。主な著書として、「電子自治体経営イノベーション」(共著)、「パブリックサポートサービス市場ナビゲーター」(共著)がある。

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