• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第34話「天国と地獄を味わってこそ、一人前の経営者になれるのだよ」

2009年5月13日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回までのあらすじ

 ジェピー経理部長兼CFOの団達也が社内変革のスピードを上げようとする一方で、ジェピー社内では達也に反目する社員が目立っていた。

 ジェピー社長の財部益男は、アメリカの大手電子部品会社、UEPCとの交渉を独断で進めようとしていた。そのことを知った益男の母でジェピー創業者の未亡人であるふみは、亡くなった夫が信頼していた宇佐見秀夫に相談するしかないと考えた。宇佐見は達也の恩師でもあった。ふみは娘の早百合にジェピーの現状と益男の先走った行動をしたためた手紙を託した。宇佐見は脳梗塞を患った後、伊豆高原の別荘で隠居していた。

 資金繰りに窮していたジェピーは、ロンドンの投資ファンドから30億円の融資を受けていた。「半年で業績を上向かせることができなければ、特許権を差し押さえる」というのが融資の条件だった。手を差し伸べたのは、達也の旧友、ジェームスだった。

 最後に会った日からまだ1年も経っていないというのに、宇佐見はすっかり老け込んでいた。だが、早百合がふみの手紙を読み始めると、見る見るうちに以前の生気があふれ出した。

 「達也のヤツ、また同じ間違いを繰り返している…」

 宇佐見は独り言を言った。おそらく社長の益男を無視して、次々と指示を出す達也を批判しているのだろう、と早百合は思った。達也は自分がジェピーの経営者であるかのごとく振る舞っている、との噂が絶えないのも事実だ。しかし、たとえそうだとしても、会社の将来を憂い、従業員らを引っ張り、ジェピーを破綻の危機から救っているのは達也なのだ。責められるべきは何もできない兄ではないか。なぜ、真っ先に達也のことを口にしたのか。早百合は宇佐見の心の内を、思いあぐねた。

 だが、早百合はその事には触れないことにした。宇佐見が言うのだから、達也にも何らかの非があるのだろう。そのことを知っただけで十分だ。

 「それにしても早百合さん、筋の悪い連中に目をつけられたもんだ」
 宇佐見は同じ言葉を繰り返した。

 「筋が悪い、ですか…?」
 早百合は聞き返した。

 「この話、出来過ぎだとは思わんかね」

 「私はビジネスのことは分かりません。ただ、この話は、会社と会社とのつき合いと言うより、UEPC社が兄個人に狙いを定めているような気がしてなりません」
 UEPCが何かを企んでいるのではないか、と早百合は思いを打ち明けた。

 「その通りだよ。だが、益男君は気づいていない…」
 宇佐見はこんな話を始めた。

 「アメリカ人はパーティーが好きな国民で、しかも、もてなし上手なんだ。ゲストとして招くと、口々に大袈裟に褒める。褒められた方は、ハッピーな気持ちになる。それがアメリカの文化だし、そんなアメリカの人たちを私は嫌いではない。だがね、彼らはビジネスでもそれをやるんだ。映画に出てくるような豪華な場所で、タキシードやイブニングドレスに身を包んで顧客を囲み、褒めそやすのだよ」

 早百合は、映画の一コマが頭に浮かんだ。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

一覧

「第34話「天国と地獄を味わってこそ、一人前の経営者になれるのだよ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の未来は、男性と同じ程度、女性のリーダーが作っていくものだと確信している。

ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長