「強い会社は社員が偉い」

地域密着、異業種連携でタクシー業界を活性化

湯江タクシー社長 内田輝美氏(後編)

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2009年5月14日(木)

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 前回に引き続き、2007年12月から「全国子育てタクシー協会」の会長を務め、長崎県諫早市でタクシー会社(湯江タクシー)を経営している内田社長に、タクシーの存在意義見直しへの取り組みについて伺いました。前回は、タクシー乗務員の方々に仕事への誇りを持ってもらうしかけを取り上げましたが、今回は、今後のタクシー業のあり方への内田社長の思いに焦点を当てます。

 (前回から読む)

●セミナーのご案内
 5月26日(火)に開催するセミナー「人を切らない人事戦略こそ、企業成長のカギ!」において、著者の永禮弘之さんがファシリテーターを務めるパネルディスカッションに、内田輝美社長がパネリストとしてご登壇になります

 セミナーは現在、申し込み受付中です。この機会にぜひ、内田社長のお話を生でお聞きになってみてください。セミナーについての詳細は、こちらまで。

乗務員の意見も取り入れる工夫も実施

 子育てタクシーを導入してから、私と乗務員たちはタクシー業に誇りが持てるようになりました。当初、これまでにないサービス内容に乗務員たちは戸惑っていました。でも、子供たちが安全にタクシーに乗り、お母さんたちが安心して利用できるように、接客態度や運転方法を見直してきたことが、乗務員たちの誇りを生んでいると思います。

内田輝美(うちだ・てるみ)氏
湯江タクシー社長
1967年、長崎県生まれ。日本大学芸術学部卒業。創業者である父、母が相次いで亡くなったため、1988年、弱冠20歳の若さで湯江タクシー社長に就任。現在、全国子育てタクシー協会会長、諫早市タクシー協会会長も務める。うなぎの卸加工会社を経営する夫と中学1年生の娘、小学1年生になる息子の4人家族(写真:山田 愼二、以下同)。

 ただ、乗務員たちがこのサービスに対して100%納得しているわけではありません。子育てタクシーは予約が入ると、30分前にチャイルドシートをつけることになっていますから、予約が入った前後は一般のお客様を乗車させることができません。子育てタクシーの仕事を頼むと、乗務員は複雑な表情をして出ていきますね。

 でも、仕事を終えて帰ってくると、いい顔をしているんですよ。お母さんたちから感謝の言葉を頂いたり、車内で子供たちと触れ合ったりすることで、「自分は必要とされているんだ」という気持ちが、乗務員の表情にも出ているのではないでしょうか。

 また、「ありがとうという言葉と笑顔を頂くためには何をすればいいのか」と考えたり、子供さんの名前を覚えようとしたり、乗務員同士で情報交換し合うなど、自分たちで子育てタクシーを考えるようになってきました。乗務員の納得度は、少しずつですが確実に上がっていると思います。

 最近、乗務員、営業担当者、私が話し合う場を月に数回持つようにしています。乗務員からもいろいろ意見が出され、情報共有が少しずつ進んでいます。

 以前は、お客様がタクシーを取り合うほどこの業界は順調でした。いい流れの中にいたこともあり、事業者がお客様目線でのサービスやいいサービスを行うために事業をどのようにしていったらよいのか、乗務員と話し合う機会はなかったように思います。経営が順調であれば現状を変えることに目が向かないのは理解できます。けれど、このまま事業者と従業員が自分達の立場だけを考えたり、お客様目線のサービス向上に前向き取り組まないでいると、今の厳しい現状は乗り越えられないと思っています。

 香川県の子育てタクシードライバーの中には、折り紙で犬を作って、乗車した子供さんに配っている人もいるそうです。こういった情報も「全国子育てタクシー協会」の中で共有しています。「お客様が喜ぶなら、何かやってみようかな」と、よい連鎖反応が乗務員にも生まれているのかもしれません。

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著者プロフィール

秋元 志保(あきもと・しほ)
シー・ブルーム株式会社 企画・編集事業

ベンチャー企業の広報支援を手掛ける同社で、企画・編集事業部を立ち上げる。 書籍プロデュース(『ゆとり社員の処方せん』(朝日新聞出版)など)や雑誌・WEBでの記事作成を担当。

永禮 弘之(ながれ ひろゆき)

永禮 弘之

株式会社エレクセ・パートナーズ代表取締役
これまで、化学会社の経営企画、外資系コンサルティング会社のコンサルタント、衛星放送会社の経営企画部長・事業開発部長、組織変革コンサルティング会社の取締役などを経て現在に至る。建設、化学、医薬品、食品、自動車、電機、情報通信、小売、外食、ホテル、教育出版、文具など幅広い業界の企業に対して、7000人以上の経営幹部、若手リーダーの育成を支援。ASTD(アメリカに本部がある、世界最大の人材開発・組織開発の非営利団体)日本支部理事、リーダーシップ開発委員会委員長。

著書・雑誌寄稿:『強い会社は社員が偉い』日経BP社、『問題発見力と解決力』日経ビジネス人文庫(共著)、『グループ経営の実際』日本経済新聞社(共著)、『日経ビジネスオンライン』連載「野々村人事部長の歳時記」、『日経ビジネスアソシエ』連載「MBA講座」、最近の著書に『強い会社は社員が偉い 社員様第一経営のススメ』(NB Online book)がある。

 

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